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実例Q&A

被相続人が、生前中建更の受取人を相続人の一人にした場合は?【Q&A №592】

2017年12月8日

【質問の要旨】

相続人の一人が建更の受取人になっていたが、不公平ではないか?

【ご質問内容】

JAの建更と一般に言われている「火災保険」の事です。

積立式の年払いです。

他の相続人である私には、高額に思えるのですが、この場合は全て受取人のものになるのでしょうか?

残っている金融資産はあまりなく、もの凄く不平等感をおぼえます。

どうか、お力を貸してください。

(ユリ)

※回答文中では、質問者を「あなた」、亡くなられた方を「被相続人」、相続人の一人を「A」と表記します。

 

【建更の制度についての整理】

建物更生共済とは、火災だけでなく、地震や台風、豪雨等の自然災害も広く保障し、満期を迎えた際には満期共済金が支払われる損害保険のことです。

建物更生共済では、

①契約者

②被共済者

③満期共済金受取人

の3つの点を考える必要があります。

①契約者は、掛け金を支払う人で、建物所有者又はその親族が契約者となります。

②被共済者は、建物の所有者です。

③満期共済金受取人は、契約者又は被共済者のどちらかを指定することになります。

ご質問によると、被相続人が建物更生共済の受取人をAさんにしていたとのことです。

上記の整理を前提とすると、おそらく、

①契約者(掛金を支払う人)…被相続人

②被共済者(建物の所有者)…A

③満期共済金受取人…A

ということだと思われます。

以下はこの前提で回答します。

【建物更生共済は相続財産として遺産分割の対象になる】

生命保険金は遺産には入りませんが、建物更生共済は「相続財産」として、遺産分割の対象になります。

なぜなら、この共済は、相続発生によりAが共済金を受け取る権利を得るというものではなく、また、契約者(被相続人)が死亡した場合には、共済契約の契約上の地位は、相続人全員に承継されます。

そのため、相続時点での解約返戻金額が相続財産となり、遺産分割の対象になります。

ただ、Aとしては、今後も建更を継続させたいと考えるはずですので、あなたとしては、遺産分割において、Aから、解約返戻金のうちあなたの相続分に該当する額を支払ってもらった上で、建更の契約者としての地位をAにすることを認めるとよいでしょう。

【被相続人が支払った掛金の一部が特別受益になる可能性がある】

なお、被相続人の生前、Aは、自分の建物についての保険の掛金を被相続人に支払ってもらっていたということになります。

被相続人が支払った掛金総額のうち、相続発生日までの年数に相当する分は、Aだけが利益を得ていたことになりますので、特別受益になる可能性があります。

あなたとしては、掛金の一部が特別受益ではないかという主張もした上で、できる限りあなたの相続額が増額できるよう交渉するとよいでしょう。

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