【質問の要旨】
・夫に先立たれ、子もいない姉が死亡した場合、相続人は誰か?
・相続割合はどうなるのか?
・遺言書がある場合、遺留分はどうなるか?
【ご質問内容】
当方姉死亡の際の相続についてお尋ねします。
姉は夫に先立たれ、子供は無く一人です。
姉が死亡した場合、相続は姉の兄弟(6人兄弟で2人死亡 現在3名生存)となると理解しています。
2名死亡の兄弟はその子供が(4名います)相続対象となると理解しています。
既に死亡した夫の兄弟には相続の権利はありますか。
やはり6人兄弟で、5名生存しています。
正確な配分はどのようになるものでしょうかお伺いします。
遺言書がある場合遺留分はどうなるでしょうか。
【ご質問の点】
まずご質問で書かれた相続人ですが、今回は姉の兄弟姉妹(死亡の場合はその子)が相続人となりますので、正しく理解されています。
なお、既に死亡した夫の兄弟には相続の権利はありません。
(相続分を上記の関係図で示しておきます。)
① 姉の兄弟A及びB、C → 5分の1ずつ
② D及びEの子であるd1、d2、e1、e2 → 各10分の1ずつ
なお、今回の相続人は全員が兄弟姉妹及びその代襲者ですので、遺留分はありません。
以下、相続人の判断の仕方について説明していきます。
【誰が相続人になるか】
相続人について、簡単な説明をします。
《配偶者関係》
配偶者(戸籍上の妻または夫)は常に相続人になります。
《子、直系尊属及び兄弟関係》
① 子がいる場合には、その子が相続人になります。
なお、相続前に子が死亡したが、その子に子供(孫)がいる場合には、その子供が相続人になります(これを代襲相続といいます)。
② 上記①に記載した子らがいない場合は直系尊属(父母又は祖父母など)が相続人になります。
③ 子も孫もいない、父母祖父母も死亡している場合は兄弟姉妹が相続人になります。
なお、相続前に兄弟が死亡したが、その兄弟に子供がいる場合には、その子供が相続人になります(これも代襲相続といいます)。
【参考例①】
ご家族に妻、子、父母、兄弟がいる場合
→ 妻と子のみが相続人になり、父母と兄弟は相続人になりません。
【参考例②】
ご家族に妻と父母、兄弟はいるが、子(や孫)がいない場合
→ 妻と父母が相続人になります(兄弟は相続人ではありません)
【相続割合はどうなるか】
① 相続人が配偶者と子の場合
それぞれ2分の1ずつの割合で遺産を取得します。
なお、子が複数いる場合、2分の1をその人数で等分するのが原則です。
② 相続人が配偶者と直系尊属の場合
配偶者は3分の2、直系尊属は3分の1です。
直系尊属が複数いる場合、3分の1を等分することになります。
③ 相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合
配偶者は4分の3、兄弟姉妹は4分の1です。
兄弟が複数いる場合、4分の1を等分することになります。
【遺留分について】
もし、遺言がある場合には、遺言に従って遺産を処分することになります。
なお、遺言で相続人ではない人に全ての財産を遺贈するという場合でも、配偶者や子供、直系尊属であれば、遺留分減殺請求ができます。
この場合、前項に記載した法定相続分の半分が遺留分になります(父母だけの場合は相続分の3分の1が遺留分)。
しかし、兄弟姉妹には遺留分は認められていません。
そのため、兄弟姉妹が法定相続人の場合に、遺言で遺産が他の者に全部遺贈されてしまえば、兄弟姉妹は全く遺産をもらえないことになります。
(なお、民法が改正され、令和元年7月1日以降に発生した相続については、遺留分の請求により生じる権利を金銭化し、「遺留分侵害額の請求」という形で請求することになりました。詳しくは「相続法改正9 遺留分制度に関する見直し」を参照してください。)