相続・遺産分割と時効
母の土地を姉妹弟五人で相続しました。母の遺言で、土地は姉妹弟五人で等分に分け合うことになりました。
土地には、現在弟が家族とともに住み、土地全体の固定資産税を払っており、他の四人に持ち分の放棄を迫りました。
私と上の姉は婚家の他県に住んでいることもあり、放棄に応じてもいいですが、その場合は持ち分相当額の金銭と引き替えであることが条件で、これは姉も一緒です。
そして、そのことを弟に伝えましたが、いっこうに応じません。
母が亡くなったのが平成6年です。遺産分割の場合も、弟が私たちの持ち分の土地の上に住み続けていれば、私たちの持ち分も弟が時効取得することはあるでしょうか。
先ずは、このままなにもしないでいることで、私たちの持ち分が無くなってしまわないか、それが心配です。
また金額の話し合いに応じない弟に対してどのような意思表示をすればいいでしょうか。
内容証明等を送って、金銭の支払いを求めればいいのでしょうか。
恐れ入りますが、ご回答を願います。
【時効取得の可能性もあります】
弟さんが土地を占有使用し、固定資産税も一手に支払っていたのであれば、弟さんが時効取得を主張する可能性があります。
この場合の時効期間は、自分のために全部の土地の占有を開始してから、20年になります。
ただ、今回の質問の場合、遺産土地は遺言で他のご兄弟の持ち分が認められていますので、その旨の相続登記がなされておれば、時効取得はよほどのことがないと認められないでしょう。
【あなたが所有者であることをはっきりとさせておく必要がある】
あなたたちが権利をもっているのに、弟さんが単独で使用し、かつ固定資産税を支払っているという状態が続けば、弟さんが自分の所有物として使用しているような状態が継続して続いている状態になり、裁判所としては、時効取得を認めやすくなります。
そのため、このような状態を破るためには、弟さんとの権利関係をはっきりさせる必要があります。
具体的に言えば、弟さんとの関係で、問題の土地の使用に関する合意書を作成し、その中であなたの権利(共有持ち分)があることを明記するといいでしょう。
持ち分相当の賃料を請求するのが望ましいでしょうが、たとえ無償使用を続けるとしてもあなたが権利者であるということを認めさせることで、時効期間の進行をリセットすることができます。
もし、合意に応じないようであれば、調停等の手続きを利用することも考えてもいいでしょう。