長いあいだ一緒に暮らした彼が亡くなる直前に私に現金を渡してくれました。
彼の遠い親戚で相続人に当たる人がでてきて、お金の話ばかりします。
そんな人に法的に権利があって、彼の遺志が踏みにじられるのが悔しいです。
【ご質問の詳細】
肺ガンの余命宣告された彼が、亡くなる前に現金を渡してくれました。
長い間一緒に暮らし、信頼し合える良きパートナーで、生活費や税金支払い等もその都度頼まれて私がカードで降ろしていました。
彼の母親の介護も私が引き受けていましたが、後を追う様に数日後、亡くなりました。
贈与なる最後の預金引出しも私が行い、手渡しで彼から現金を頂きました。
二人の火葬を行い、火葬費や治療費もその中から支払っています。
やがて遠い親戚の相続人(50年以上も会っていない従兄弟)が現れ、預金の流れや資産の事ばかり気にしています。
病床で話合い、互いに納得して頂いた現金ですが、正当な贈与だと確信を持って良いでしょうか?
私宛のメール(エンディングノートのような内容)に同様の記載があります。
自分が居なくなった後の生活を心配してくれる感謝の気持が大きく、彼の手で現金の重みを感じ取ってもらってから受け取りたかった事が真実です。
生前に司法書士に依頼するように言われましたが、在宅緩和ケアで付きっきりの看病の中、法的な手続きする事など考えにも及びませんでした。
何より相続人となる従兄弟が、故人を偲ぶより、資産の事ばかり気にしている事が腹立たしく、そんな人が法的には権利があり、彼の遺志まで踏みにじられてしまうのは無
念でなりません。
今後どう対処すれば良いでしょうか?
どうか宜しくお願い致します。
【内縁の妻は相続では保護されない】
質問から見ると、あなたは《内縁の妻》という立場になります。
内縁の妻には相続分はありません。
もし、内縁関係にあるのなら、彼に遺言書を作成してもらう、あるいは贈与契約書を作成すべきでした。
あなたとしては相続という主張はできず、生前にあなたに対する贈与があったのかどうかが証明できるかどうかが焦点になります。
【残っている彼の物は相続人に引き渡す必要があります】
これまで彼に全く見向きも付き合いもなかった親戚が急にお金のことにこだわってくると、今まで介護に苦労されていたあなたが腹立たしく思われる気持ちはよくわかります。
しかし、相手方のいとこが相続人(正確には、彼の相続人であるお母さんの相続人)であれば、彼が残した遺産は衣類や家具から預金通帳まで、すべて相続人であるそのいとこに権利が帰属します。
そのため、法的には相続人から「彼の遺品である預金通帳などを渡せ」と言われれば拒否するのはむずかしいでしょう。
【贈与を裏付ける証拠がどれほどあるかの勝負です】
あなたが彼の死亡直前に受けた生前贈与ですが、引き出し当時のカルテなどから彼がまだ正常な判断能力を有していたのであれば、贈与として認められる余地があります。
問題は、彼があなたに贈与したという点をどのように証明するかということです。
彼からのメールに贈与する理由や動機などが記載されていればそれも証拠となり得ると思われます。
現時点で彼は死んでいるのですから、残された証拠で反論するしかありません。
もし、相手方が弁護士を立てて本格的な返還請求を行う可能性が高いのであれば、あなたも早めに弁護士に相談し、どのような手段で贈与を立証できるのか対策を立てておかれるといいでしょう。