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実例Q&A

生前財産調査【Q&A №581】

2017年9月19日


【質問の要旨】

存命中の祖父の財産調査はできるのか?

【ご質問内容】

祖父が高齢で事情があり今何をしてるかわからずです。

土地や通帳など大まかな事しかわからず細かく知りたいのですが調べて頂く事は可能でしょうか?

費用は大体どれくらいになりますか?

ご相談に伺いたいと思っておりますのでご連絡宜しくお願いします。

(馬渕)


【生前の調査はできないのが原則】

祖父とあなたの関係がわかりませんが、仮にあなたの父方の祖父とすれば、父が将来の法定相続人になります。

父が死亡され、あなたが父に変わって代襲相続人になり、祖父の財産を確認したいのかもしれません。

ただ、金融機関等の立場から見れば家族や将来の相続人といえども他人であり、個人情報管理に厳しい現代において、金融機関等が個人情報を他人に開示することは、まずありません。

そのため、被相続人本人がご存命のうちに家族が財産調査をすることは、原則としてできません。
(この点は同種の質問が当ブログ№370№485にもありますので、ご参照下さい)

ただ、例外的に家族が財産調査できる場合としては、

①本人から委任状をもらった場合

②本人の成年後見人になった場合

の2つの場面が考えられます。

【委任状をもらった場合・・・判断能力が「ある」場合】

もちろん、体調が悪いなど銀行に出向くことが難しい方のため、各金融機関では本人の委任状を提出した場合に家族や専門家(弁護士など)が代理人として情報の開示請求や預金の出し入れを行うことを認めるケースがあります。(この点については、どのような手続きが必要か、予め金融機関に確認されるといいでしょう)

多くの場合は、預金口座のある銀行に対し、届出印を押印した委任状と本人確認証などを提出して代理人として認めてもらい、取引履歴や通帳の再発行などを行い、情報開示を受けることになるでしょう。

もっとも、本人と委任契約を締結するわけですから本人に判断能力が「ある」ことが前提となります。

本人が認知症などで物事を理解できない状態にあるにもかかわらず委任状を書かせても、委任が無効になる場合があります。

このような場合は、次に述べる成年被後見人制度を利用することになります。

【成年後見人になった場合・・・判断能力が「ない」場合】

他方で、本人に判断能力が「ない」場合には家庭裁判所に申立を行い、成年後見人を選任してもらうことで、本人の代わりにあらゆる財産管理・調査を行うことができる権限を持つことができます。

成年後見人とは、家庭裁判所が選任した代理人であり、本人に代わって物事を判断するほか、本人に代わって預金の出し入れや不動産の管理処分も行う財産管理権限があるため、存命中のご本人の財産調査をすることが可能となります。

ただ、親族間に(将来の相続などで)争いがある場合や不正出金の問題がある場合等は、成年後見人に第三者の専門家(弁護士や司法書士)が選任されることがあります。

その場合は事情を説明して財産調査をお願いするしかありませんが、たとえ家族の希望でも調査を行うかどうかはあくまで選任された成年後見人が判断することですし、又、その調査結果については、後見人があなたに教えてくれることはないと考えておくといいでしょう。

【結局のところは・・・】

以上のとおりであり、もし、祖父に判断能力があるのなら、その委任状を得て、金融機関に調査するしかありません。

又、祖父に判断能力がないということなら、あなた自身が成年後見人になって、祖父の財産を調査するしかないという結論になります。

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