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実例Q&A

生前贈与を明らかにする義務【Q&A №238】

2013年2月4日


 

もしもの時のためにと、母が公正証書遺言を残していました。
 
十数年同居をして介護をした私に、私が死んだら中古のマンションでも買いなさいと、生前お金をくれました。
 
税務署には申告済みです。

 
その後の母の財産を母が行政書士の方と相談しながら遺言書を書きました。

 
母名義の家(土地も含む)と300万の預貯金は長男へ、これは喪主としてと書かれていました。
 
そして、駐車場として月に55000円で貸している土地を次男と私で半分づつ分けるようにと書かれていました。
 
計算上は長男が多いのですが、これからの事を思おうと先祖の供養など母らしいと感じています。
 
ところが、次男夫婦が母の預貯金がこれくらいのはずないと、同居していた私に詰め寄り、生前の贈与をはっきりさせろと言ってきます。
 
長兄は私の介護を労い気にするなと言いますが、このようなことを懸念し、遺言書を残してくれたのに、、、
 
そこで、私は生前に贈与を受けたお金の時期や金額を次兄に言わなければいけないのでしょうか?

また、半分渡さなければいけないのでしょうか?不安でなりません。
 
どうぞよろしくお願いします。

 

(ぼたん)


【情報開示の義務はありません】
 
法律上、受けた生前贈与を開示する義務が決められているわけではありません。
 
生前贈与の内容を言いたくなければ次兄に言う義務はありません。
 
裁判であなたが金銭の交付を受けているとの証拠が出てくれば、不正な取得ではなく贈与であることを立証する必要が出てくるでしょうが、示談の段階では特に開示しなくとも法律上の制裁その他の不利益はありません。

【開示するかどうかは人間関係次第】
 
問題は、法律上の話ではなく、次兄との人間関係です。
 
全てを明らかにして次兄に納得してほしいのであれば、法律の話を抜きにして生前贈与の内容や当時の税務申告資料などを明らかにするのも一つのやり方でしょう。
 
他方で、全てを明らかにしても、それが全てであることを立証する方法はありません。

あなたの説明を次兄が納得せず、結局は紛争が収まらない可能性もあります。
 
ここは次兄の性格や従前の人間関係からどうするべきかを判断するしかないでしょう。

【半分渡す必要もない】
 
あなたが受けたマンション購入費用はいわゆる特別受益にあたりうるものであり、相続分の前渡しを受けたかのような扱いがされることがあります。

他方であなたが十数年同居して母を介護したことが寄与分にあたる可能性もあるでしょう。

また、あなたが次兄の遺留分(相続分の半分)に損害を与えることを知って贈与を受けたのであれば、従前の贈与に対し、次兄の遺留分(遺言があるので相続分の2分の1)を回復する限度で贈与を返還する義務が生じることがあります。
 
質問からは、あなたがもらった贈与金額もわからず、また、他の遺産の価額もわからないので、次兄に返還する必要があるかどうか、また、仮にあるとしていくらを返還する金額がどの程度になるかを確認することができません。
 
もし、次兄から本格的な返還請求があった場合には、相続に詳しい弁護士に相談し、返還義務の有無等を検討してもらうといいでしょう。

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