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実例Q&A

調停申立による遺留分の時効中断【Q&A №667】

2019年11月25日

【質問の要旨】

・ 遺留分の調停をしている場合、消滅時効にかからないのか?

 

 

 

【回答の要旨】

・以前の回答《№54 調停と時効中断の関係の記事》の訂正

・今回の質問の場合、調停中は時効成立しない

・提訴する遺留分減殺請求の内容

・遺留分減殺の消滅時効や時効中断などの法律が改正されています!

【ご質問内容】

貴ブログを拝読致しております。

Q&A No.54のA【消滅時効について】です。

「調停を申し立ててから1ヶ月以内に金銭債権について訴えを提起しなければならないのでこの点はご注意ください」と書かれています。

小生の調停は調停開始から既に半年経っています。

まだ具体的な金銭債権についての訴えは提起していません。

父の相続発生は10年近く前です。

遺留分請求は父死後1年以内に行いました。

調停の時効中断がないと、問題終結までに時効に至る可能性がありそうな状況です。

既に調停開始後1ヶ月以上経っていますが、

「どういう形で金銭債権の訴えを提起すれば良いのでしょうか」

「どういう理由で1ヶ月以内でしょうか」

「1ヶ月以上経った現在、何か対応方法はあるのでしょうか」

をご教示頂けたらと存じます。

(柚子胡椒)


 ※敬称略とさせていただきます。

 

【以前の回答《№54 調停と時効中断の関係の記事》の訂正】

当ブログNO.54についてご指摘を頂いたことから、内容を確認しました。

下線部分が次のとおり間違っておりました。

すみませんでした。

誤「調停申し立てから1ヶ月以内に・・・訴えを提起」

正「調停が不成立に終わった時点から1ヶ月以内に訴えを提起」

以前のブログでは、

調停を申し立てた後、1ヶ月以内(通常はこのような時期は調停が係属中の時期です)に、別途訴訟提起しなければ時効中断しないという回答になっておりました。

しかし、正しくは

調停が不成立(不調)で終了した時点から1ヶ月以内に訴訟提起すれば、時効の効力は中断されるということになります。

要するに、(時効完成前に申し立てられた)調停が続いている間は訴えを起こさなくとも時効は完成せず、調停が不成立に終わった場合でも《1ヶ月以内に》に訴訟を提起すれば時効中断の効果は維持され、時効消滅はしないということです。

【今回の質問の場合、調停中は時効成立しない】

今回の質問では、調停申し立てから半年経っていますが、調停申し立てによる消滅時効中断の効力は維持されます。

また、調停がまとまらず、不成立となった場合でも、その日から《1ヶ月以内》であれば、時効中断の効力が継続しますので、この間に訴訟を提起すればよいということになります。

※誤解と混乱を招いたようで大変申し訳ありませんでした。

(すでにNO.54は訂正を致しましたので、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。)

【提訴する遺留分減殺請求の内容】

どういう訴訟を提起したらよいかとの質問ですが、遺留分減殺請求の金銭債権が請求できるケースであれば、遺留分減殺請求に基づく金銭支払請求訴訟を起こすことになります。

ただ、遺留分減殺請求は、弁護士でもかなりややこしい分野と理解されています。

そのため、訴状にどういうことを書くのかを含めて、相続事件に詳しい弁護士に相談をし、できれば事件を依頼することをお勧めいたします。

【遺留分減殺の消滅時効や時効中断などの法律が改正されています!】

今回のご相談は相続開始が10年近く前であるため、その当時の法律が適用されるので、その前提で回答しました。

しかし、平成30年の相続法改正で、遺留分減殺請求権は、新たに「遺留分侵害額請求権」と名称も内容も改正されました。

遺留分侵害額請求権についての消滅時効についても相続開始から10年で消滅するということになり、なんら期間制限のなかったそれまでに比べ、大きく短縮されました。

また、平成29年債権法改正(但し、その効力発生は令和2年4月1日から)で、遺留分減殺の調停を申し立てた場合、調停終了後から6ヶ月以内に訴訟を提起すれば時効は完成しない(調停係属中に時効は完成しない)こととされ、旧法に比べ、訴訟提起するまでの猶予期間が増加することになります。

ご注意ください。

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