父が私の妹の義父に土地を貸与していました。
そのような土地の賃貸借が生前贈与に当たりませんか?
【質問詳細】
昨年、父が亡くなりました。
父は生前に公正証書遺言を残していました。
その遺言には、妹に全ての財産を相続させると記載されています。
相続人は、私と妹の二人です。
私は遺留分減殺請求を行う予定です。
ところが父の生前、父と妹の義父(妹の夫の父親)との間で相続対象の土地の借地権契約をしたそうです。
妹の義父はその土地にアパートを建てて他人に賃貸をしていました。妹の義父はその後1年足らずで死去しその後、妹の夫がアパート及び借地権を相続しております。
妹からは、私が遺留分減殺請求をしても、相続対象の土地の借地権割合が60%なので、私が請求できるのは、底地割合の40%の遺留分(4分の1)、つまり1/10しかないのだから諦めろと言われてしまいました。
借地契約書や地代をどの程度収めていたか等は、これから相手側に問いただす予定でおり、借地権の有効性を確認する予定です。
上の経緯は、相続発生後に私が遺留分減殺請求を行う事を前提に、私の遺留分をなるべく小さくするために、妹らが対策を考えて借地契約という形をとったのではないかと考えています。
このような場合、借地契約を締結したのは妹ではなく、その義父ではありますが、借地契約そのものが妹への生前贈与に当たらないでしょうか?
【借地権であるかどうかの確認が必要】
質問でも記載されていますが、お父さんとお義父さんとの間で土地使用がどのような契約をしているのかを確認する必要があります。
契約書が作成されているかどうか、作成されているのならその内容、更に署名がお父さんの筆跡であるのかどうかも確認されるといいでしょう。
なお、賃料が支払われているのか、保証金等は差し入れられているのかも調査の対象とする必要があります。
【遺産内容の確認も必要不可欠】
遺産は不動産だけということのようですが、やはり預貯金等の銀行関係の調査が必要でしょう(調査方法についてはブログQ&A №417をご参照ください)。
預貯金の取引履歴を確認すれば、預貯金の不正引き出し等がわかり、遺産額が増えますが、それだけではありません。
契約時に保証金等の支払いがあったのか、毎月、賃料が入ってきているかどうかが確認できます。
【保証金や賃料の支払いが発見できない場合でも役に立つ】
取引履歴に賃料が記載されていないとすると、土地は借地権でなく、無償使用(使用貸借)である可能性があります。
その場合、借地権額は更地価額の60%程度、使用貸借額なら10%前後ですので、遺産の対象となる土地の価額がアップします。
なお、念のために言えば、あなたが知らない隠された預貯金口座が存在し、そこに賃料が入金されている可能性もあります。
この場合にはそこの多額の預貯金が存在する可能性があります。
また、保証金等の契約時の支払い分がないかどうかも確認する必要がありますので、取引履歴の取り寄せは必要不可欠です。
【法定相続人以外の人に対する贈与】
ほとんど保証金を取らずに、しかも定額で借地権を設定したとしても、その相手がお義父さんのような法定相続人以外の方であれば特別受益の問題は発生しません。
遺留分減殺の場合、第三者に対しても請求することができます。
ただ、借地契約の内容があまりに不当で、地主であるお父さんにとって不利な内容であり、《まるでただ同然のような条件で貸している》というのなら、贈与とみなすことも不可能ではないでしょう。
ただ、遺留分減殺請求自体がなかなか難しい手続きですし、ましてや本件は第三者との間で賃貸借契約を装ってというような難しい案件ですので、相続に詳しい弁護士に事情を詳しく説明され、そのアドバイスを受けるといいでしょう。