妻Aが平成20年死亡し、相続手続きをしないまま、夫Bが平成23年死亡しました。
AB夫婦には子供がいないため、Bは公正証書遺言で、姪っ子X(だいしゅう相続人)に自分の財産のすべてを相続させる旨の遺言を残していました。
Aの法定相続人は、亡Bと兄弟2名がいます。
この場合、Aに関する遺産分割協議には、兄弟2名のほか、亡Bが全てを相続させるとしたXの3名で良いのでしょうか?
それとも、亡Bの法定相続人十数名が亡Bの相続人としてBの遺産分割協議に出席しなければならないのでしょうか?
教えてください。
【Aの遺産分割は、その相続人全員でする必要がある】
妻Aの死亡により、夫BとAの兄弟2名の計3名が相続人となります。
ところが、Aの相続人である夫Bが死亡し、その遺産分割協議をするというのであれば、Bの相続人全員(代襲相続人であるXも、もちろん参加する)が参加する必要があります。
なぜなら、遺産分割協議は相続人全員でするものだからです。
【遺産分割協議が成立しない場合】
BにはXの他にも相続人がいる可能性があります。
確かにBは「Xに全て相続させる」という遺言をしていますが、「相続させる遺言」は相続人であることを排除するものではないからです。
従って、Xが遺産分割手続きに参加しない場合や、仮にXが参加したとしてもその他Bの相続人が参加しない場合には、Aの相続について遺産分割協議をすることができません。
この場合には遺産分割調停や裁判をすることになるでしょう。
そして、それによってBが取得すると判断された財産についてはBの遺言に基づいて、Xが全てこれを取得します。
なお、ここでBの他の相続人が、Xに対し、遺留分侵害額請求をする可能性はあります。