【質問の要旨】
・母親、長男(独身)、次男(妻・子あり)、長女(独身)、次女(独身)、三女(夫・子あり)
・相談者は三女の夫
・1月に長男、2月に次女が亡くなった
・母親は軽い痴呆症あり高齢者施設に入っている
・長男、次女の遺産は母親が100%相続するのか?
【回答の要旨】
・遺言書で遺産をもらえないときには、急いで遺留分減殺請求をする
・遺留分減殺の請求期間は遺留分侵害を知って1年間なので、早急に手配が必要
・本件では、遺留分の侵害されたことを知ったのは孫が10万円をもらった時点
・祖父の生前に、後妻の姪がもらった祖父の財産も返還請求はむずかしい
・先妻の子(孫)は、養子になっていない限り、後妻の死亡時にその遺産をもらえない
・本件では、祖父が死亡して遺言書が発見されたときが勝負の時であり、その時に弁護士に相談すべきだった
【ご質問内容】
私は、三女の夫です。
① 妻の母親96歳存命、長男(独身)、次男(妻、子供あり)長女(独身)、次女(独身)三女(夫子供あり)、 本年1月末に長男が亡くなりました。その場合、長男の遺産を母親が、100%相続するとの判断で宜しいでしょうか?
②母親は高齢者施設に入っており軽い痴呆症もあると聞いております。
長女が介護をしていた関係で、長男の死去をこれから伝えて書類作成となります。
③次女(独身)も2月の末に死去しました。これも母親に100%相続となるので、しょうか?
(ナポレオン)
※敬称略とさせていただきます。
【回答】
1.法定相続人は配偶者と子、両親、兄弟です。
誰が相続人になるかは法律(民法)で決まっています。
まず、死亡された方(被相続人といいます)の配偶者(妻または夫)が相続人になります。
次に、被相続人の子がおれば、子も相続人になります。
被相続人に子がいなければ、その父母が相続人になります。
父母もいない場合には、兄弟姉妹が相続人になります。
2.被相続人に配偶者も子もいなければ、母が全遺産を相続する。
本件では長男が死亡したのですが、独身ということですので、配偶者がなく、子の方が相続することになります。
ただ、子もいないということであれば、被相続人の両親が相続人になります。
次に次女も死亡し、その方も独身ということですので、配偶者がいないので、子の方が相続することになります。
ただ、子もいないということであれば、被相続人の両親が相続人になります。
このように、長男、次女ともに独身で死亡したときはその両親が相続人になりますが、母しかいないようですので、「母親が、100%相続するとの判断で」間違いありません。
3.母が認知症であっても、相続は問題なくできる。
なお、母が軽い認知症ということですが、仮に母が重い認知症で全く判断能力を有しない場合であっても、母は全遺産を相続することができます。
(母の行為により相続が発生するのではなく、母という地位にあるという事実があることにより、法律で相続が発生するからです)。
ただ、その遺産を処分する場合には母に意思能力がなければ成年後見人などを選任する必要があります。
(弁護士 大澤龍司)