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実例Q&A

成年後見人に対する請求の可否【Q&A №674】

2020年2月25日

【質問の要旨】

・実母が認知症になり、5年前に後見開始申立をし、司法書士が後見人になった。

・15年前に実母に預けた200万円は返してもらえるか?(預り証は相談者が保管)

・相談者が裁判所に振り込んだ費用10万円は返却されるか?

・後見人は「実母が入居している施設を教える必要がない。弟に聞いてくれ」と言うが、これは普通のことか?

 

 

 

【回答の要旨】

・母に預けた200万円は、成年後見人に対して請求する

・後見申立時の費用は、原則申立人であるあなたの負担になる

・入所施設を教えるかは後見人が身上監護の観点から判断する

【ご質問内容】

跡取りの弟夫婦と同居いたしてた実母6年前より軽い認知症を発症、見舞う度々に劣悪な環境 虐待を含め。

裁判所に5年前、後見人を申請、現在,司法書士後見人がついており金銭は弟夫婦の自由にはできない環境になっておりますが施設の場所等は弟夫婦と後見人のみが存じとります。

従いまして孫はおろか実娘さえ合うことはできない状態です

15年前母親に預けた200万がございます。

母親の捺印がございます預かり証は私が保管いたしておりますが夫のがん治療のため物入りとなり預けた金銭の請求をいたしたいと存じますが可能でしようか?

又裁判所に母を認知症かと診断するときに申立人の私が10万ほど裁判所に振り込みましたがそのお金は返却されますでしょうか?

後見人は実母が入居している施設を教える必要がないとのことですがこれは普通のことでしようか?

後見人は今は虐待がないのだからいいでしょう知りたければ弟さんに聞いてくださいと。身上監護と金銭管理がしてほしく後見人をお願いいたしましたが目的とはかけ離れてしまいました。

よろしくお願いいたします。

(リンゴ)


 ※敬称略とさせていただきます。

 

【母に預けた200万円は、成年後見人に対して請求する】

まず、15年前に母に預けた200万円の預け金については、預かり証を示して成年後見人に対して返還請求をすべきです。

預け金は、返還期限から10年が経過すると、消滅時効により返還請求ができなくなりますが、預かり証に返還期限の記載がなければ、あなたが母に「返して」と言うことが可能になったときから時効が進行しますので、返還請求ができる可能性はあります。

この件は、成年後見人に請求してみるとよいでしょう。

【後見申立時の費用は、原則申立人であるあなたの負担になる】

次に、成年後見申立にあたってかかった費用についてですが、成年後見申立を親族が行った場合は、申立を行った親族が申立費用(申立手数料、通信用の郵券、鑑定費用、登記手数料その他申立事務に要する費用)を負担することになっています。

もっとも、成年後見申立時に、申立書の「申立の実情」欄に「非訟事件手続法28条により本人に費用を負担させる旨の裁判を求めます」と記載していれば、当然に裁判所の判断がなされますので、その判断の内容によっては、母に一部費用を負担してもらうことが可能になる場合もあります。

ただし、必ず負担してもらえるというわけではなく、裁判所の判断によりますので、注意が必要です。

今回の件では、もしかすると、申立時に上記記載をしなかったのかもしれませんが、その場合にも、一度裁判所に費用負担の裁判を求めたいと相談してみることをお勧めします。

【入所施設を教えるかは後見人が身上監護の観点から判断する】

最後に、後見人が、母の入所している施設を教えてくれないとの点ですが、あなたの立場からすれば、母に会えず、財産も費消されてしまうという問題があるからこそ、成年後見の申し立てをしたにもかかわらず、施設を教えてくれないのではまったく意味がないとのお気持ちであろうと思います。

ただ、親族に母の入所している施設を教えるか否かは、後見人と裁判所が、被後見人である母の身上監護を行うにあたって、どのような選択をするのが母のためになるかを考えて判断します。

私個人としては、一般的には、母のためを思えば、娘にも入所施設を知らせて、少しでも会えるようにしてあげるべきではないかと思いますが、後見人は後見人で、本件についての諸事情を考慮して、母の入所施設を教えるべきではないと判断したのだと思われます。

そのため、まずは後見人に対して、どうして施設を教えられないのか、その理由を文書で回答してもらうべきでしょう。

その上で、その回答が納得できないものであった場合には、家庭裁判所に対し、「後見人にこのような問題があるので、家裁の方でも事実関係を調べ、必要に応じて後見人に注意して下さい。」という趣旨のお伺いを立てるという方法もあります。

この申し出をする場合には、後見人から得た回答書も添付して裁判所に提出するとよいでしょう。

(弁護士 岡井理紗)

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