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実例Q&A

相続分を譲渡するには【Q&A №283】

2013年6月14日


 

【質問の要旨】

共同相続人に相続分を無償譲渡し、関係を断ちたい。

無償譲渡する旨の文章を一方的に送り付けて、譲渡は成立するか。

【ご質問内容】

被相続人の通帳を管理していた共同相続人が言を左右にして相続対象預貯金の詳細を明らかにしません。

このような人間を相手にいつまでも不毛な協議を続けたくありませんので無償で相続分を譲渡して係りを一切絶ちたいと思っています。

この場合、一方的に「君に無償で譲渡する」という文書を送り付けて終わりにしたいのですが、このような方法での譲渡は有効でしょうか。

相手がこれを受領すれば黙示の譲渡契約が成立したとみることはできませんか。お忙しいところ恐縮ですがご教示願えれば有難いです。

(bluegrass)

 

【譲渡契約書を締結する必要がある】

相続分の譲渡を考えておられるようですので、その場合の注意点を記載しておきます。

相続分の譲渡は、譲渡人であるあなたと、譲受人である相手方との合意ですので、《一方的に「君に無償で譲渡する」という文書を送り付け》ただけでは効力を持ちません。

相手の同意が必要です。

そのため、あなたが共同相続人に自らの相続分を譲渡する旨を記載した文書に、あなたと共同相続人である譲受人の署名捺印をした、「譲渡契約書」を作成・締結する必要があります。

【相続債務の支払いを明記する】

ご質問の事案では、被相続人の負債はないのかもしれませんが、現在把握しておられない借金などが判明する可能性も否定できません。

そのため、持分の譲渡の契約書を作成する場合には、上記相続分譲渡の文言に加えて、《譲渡人であるあなたの相続債務については、譲受人が支払うものとする》というような条項を記載しておくといいでしょう。

【記載したにも関わらず相続債務の支払いがされなかった場合は・・】

ただ、注意するべきことは、あなたと譲受人との間で、譲受人があなたの分の債務も譲り受けるとの合意をしたとしても、債権者がそれに同意しない限り、依然として債権者は、あなたに対して債務の支払請求をしてくる可能性があるということです。

相続人間で債務の支払責任を移転しても、それは相続人間で勝手にしたことであって、債権者としてはあなたに対して、法定相続分に応じた債務の支払いを請求することができるのです。

【相続債務の支払も確実に逃れるためには相続放棄をする】

本件の事案では、確実に債権者から債務を請求されないようにするためには、相続放棄が望ましいです。

相続放棄をするには、相続開始を知ってから3か月以内に、家庭裁判所に放棄の申出をする必要があります。

そのため、相続開始を知ってから3か月をまだ経過していないのであれば、相続分譲渡よりも、相続放棄の手続きをとるべきです。

また、今回のご質問では、相続放棄期間(相続開始を知って3ケ月以内)を過ぎているのかどうか明らかではありませんが、仮に過ぎていても、新たに多額の債務の存在が明らかになった場合には、その旨を家庭裁判所に申述すれば、その時点から3ケ月以内に相続放棄の手続きが可能です。

そのため、持分の譲渡だけではなく、相続放棄も視野に入れて、今後の対応を検討されるといいでしょう。

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