兄と妹の二人です。
(兄には嫁と子供二人・長女と長男がおります)
父が平成17年、母が平成20年6月17日に亡くなりました。
その後、遺産相続のことについては、縁を切ると脅されていました。
平成22年12月4日に、急に、一方的に連絡があり、兄が勝手に作成してきた遺産分割協議書(同二枚)を差し出され、謝らないといけないことがあると、いきなり泣き出し私の相続金を借金の穴埋めに遣い込んでしまい私への遺産金が無くなってしまったと訴えられ、自分の(兄)家も手放さなければならいし…ばれたら、嫁とも別れなくてはならないと泣き脅しされ、泣く泣く、その場では、私が泣いてあげれば全てが丸く納まるのか!?と思ってしまい虚偽の遺産分割協議書(同二枚)の一枚(兄の保管用)のみにサインと捺印(実印)をしてしまいました。
私の保管用の虚偽の遺産分割協議書には、兄のサイン捺印(実印)はありますが、私は白紙にしています。(納得は出来ていなかった為)それでも?
一方の虚偽の遺産分割協議書にサイン捺印(実印)をしてしまった以上、無効にはならないのでしょうか。
私は、結局、遺産金はもらえず仕舞いです。
しかし一年前に、私に内緒で、新しい家を購入して引越しもされていました。
【遺産分割協議書は1通あればよい】
遺産分割協議書は1通作成されれば、それで有効です。
あなたが持っている協議書に印鑑を押していなくとも、兄の持っている分割協議書は無効にはなりません。
兄の持っている分割協議書に相続人全員の実印が押され、印鑑証明書がついていると金融機関から遺産である預金の払い戻しも受けることができ、登記もできます。
兄はその1通を使って、遺産を自分のものにしたのでしょう。
【詐欺等で取り消しや損害賠償を求めることも考えられるが・・】
兄が述べた事情が虚偽であったとすれば、詐欺を理由として分割協議を取り消しできる可能性がありますし、不法行為による損害賠償も可能かもしれません。
ただ、問題は、兄の詐欺を証明できるかどうかです。
裁判に勝つためには、詐欺であることをあなたが証明する必要があります。
具体的に言えば、兄が、質問にあるようなことを言ったことやそれが嘘であったことなどを裁判所にわかってもらう必要がありますが、その点の証明ができるかどうかという問題です。
【今後の手続きは?】
さて、問題はどのような手続きで兄から遺産を取り戻すかということです。
もし詐欺を働くような兄であれば、返還せよと言っても、簡単に返還してくれないでしょう。
通常は、遺産分割協議書が無効であるとして、遺産分割調停をするのが望ましいです。
しかし、調停をしても、もし詐欺を働くような兄であれば、返還せよと言っても、簡単に返還してくれないでしょう。
当事務所は、質問と似たようのケースを扱うこともよくありますが、残念ながら調停でまとまったケースは一例もありません。
訴訟になった場合、勝訴の可能性もありますが、敗訴の可能性もあります。
いずれにせよ、訴訟になる可能性があるケースですので、早期に、相続に詳しい弁護士に相談され、詳しく事情を説明した上で、その意見をお聞きになるといいでしょう。
その上で、訴訟のリスクもわかった上で、事件を依頼するかどうかを検討されたことをお勧めします。