【質問の要旨】
虚偽の説明で実印を渡したら、相続は無効になるのか?
【ご質問内容】
祖父が40年ほど前に亡くなりました。
祖父には、妻(祖母)と7人の子供がいました。
私は、次男の子供です。
祖父の相続にて、長男が、妻(祖母)と自分以外の兄弟6人の特別受益証明書を作成し、祖父の不動産を独り占めしました。
当時、遺産分割協議は実施されていなく、特別受益をしてもらっていない兄弟が2人いて、どのように実印が長男に渡ったのか覚えていません。
また、1人は、虚偽の説明で、実印を渡したと言っています。
他の兄弟は、すでに他界し、どのような経緯で実印が長男に渡ったのかわかりませんが、いとこの話によると、半強制的に持っていかれたらしいと言っていました。
現在、長男が3,4年前に他界(現在、祖父の土地は長男の嫁の名義)し、どのようにして実印を集めたのかわかりません。
そこで質問です。
実印を渡してしまった兄弟は、祖父の相続をあきらめるしかないのでしょうか?
虚偽の説明で実印を渡した場合は、無効になるのでしょうか?
長男がもはや他界しているので、生存者の叔父の証言の方が有効でしょうか?
もし、有効だったならば、祖父の相続をやり直すことはできますか?
長男の嫁と争わなければいけませんか?
【詐欺ならば取り消しが可能です】
詳しい話はわかりませんが、もし虚偽の事実を告げられて実印を押印してもらった場合、その意思表示は詐欺行為に基づく意思表示として、取り消しの対象になることがあります。
たとえば、「車の名義変更に実印が必要なので貸して欲しい。」などと、全く違う用途を説明されて実印を渡したら特別受益証明書に実印を押されてしまった、というような場合であれば、その実印(意思表示)は取り消しうる、ということになります。
【取り消し期間は5年間】
ただ、詐欺に基づく取り消し権は、詐欺に気づいた時点から5年で消滅します(気づかない場合も20年で消滅)。
そのため、今回のように40年も前の話であればもはや取り消し期間が経過し、実際に取り消すことは難しいでしょう。
【証言だけで覆すのは難しい】
仮に期間の問題を無視するとしても、叔父さんの「騙されて実印を渡した。」という証言だけで特別受益証明書を取り消すことは難しいでしょう。
「死人に口なし」と言いますが、たとえ反対の証言がなくとも、裏付けのない証言だけでは、裁判所も証言の信用性を認めることができず、あなたの主張は認められないままとなる可能性が高いでしょう。