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実例Q&A

★愛人の子にも相続権はあるか【Q&A №70】0070

2018年6月14日


 

父が車の自損事故で亡くなり、損保会社から死亡保険金がおりると連絡がありました。母は健在で私は一人っ子ですが父に認知している子供がいると知らされました。
 
損保会社の方は保険金の受取は相続ではないので保険金の受取割合は3人で話し合うようにと言われました。
 
法定相続では母が1/2、私が2/6、認知した子が1/6になると思いますが、愛人から慰謝料を受け取っていないし、20年以上苦しめられているのでたとえ1/6でも持っていかれるのは納得できません。

相手は代理人として弁護士をたてました。
 
今後どの様に進めていったらいいのでしょう。

(大阪のおばちゃん)

(この回答は平成25年9月4日に出た最高裁の判例に基づき、それまでの回答内容に変更を加えております)
 
夫が愛人を作った場合、妻はその愛人に対して、不法行為の損害賠償請求ができますが、この請求は不法行為の存在を知ってから3年以内に請求しないと消滅します。
 
しかし、この請求は、あくまで、妻から愛人に対して請求できる権利であり、愛人の子自身が不法行為(不貞行為)をしたわけではありませんので、愛人の子に対する損害賠償を請求はできる余地はありません。
 
したがって、慰謝料を理由に相続取り分を少なくするという主張はできないことになります。
 
 なお、参考までに言えば、妻の立場から不法行為(不貞行為)による損害賠償請求が可能ですが、その不法行為(夫の不貞行為)があったことを知ってから3年以内に請求しないと時効で消滅します。

そのため、不貞行為が継続していたのであれば、現在(請求したとき)から遡って過去3年間の不貞行為については、損害賠償を請求する余地があるかもしれません。

【保険金は相続財産ではない?】

保険で死亡保険金の支払いがされる場合、その死亡保険金は遺産とはならず、相続の対象とはなりません(生命保険は誰が相続できるのか【Q&A №26】)。

そのため、保険契約で特定の保険金受取人が指定されている場合には、その指定された者が保険金全額を取得します(この取得は相続ではなく、保険契約の効果として受取人が取得します)。

保険金の受取人が「相続人」とされていた場合には、被保険者の相続人が持分割合に基づいて相続人が保険金を受け取ります(保険金請求権が相続財産に含まれるのではなく、あくまでも保険契約に基づいて取得します。受取人の指定が、相続人が保険金を受け取るべき権利の割合を相続分の割合によるという趣旨を含むと解釈するのです。)。

保険契約で受取人が定められていない場合の死亡保険金については、生命保険会社との契約書(取引約款)か、あるいは簡易保険のように法律で、誰が権利を取得するのかが定められているものと思いますので、念のため保険会社にどういう契約になっているのか確かめられた方がいいでしょう。

もし、そのような定めがない場合には、法定相続分を参考にして支払を請求するしかなく、愛人の子から保険金の4分の1を請求されると、それを拒否することは難しいものと思われます。

【非嫡出子も他の子と同じ割合で相続します・・最高裁の判断が出ました】

最高裁判所は、非嫡出子の相続分を2分の1とする民法の規定は、遅くとも平成13年7月時点で、憲法14条1項に違反するようになったと判断しました(最大決平成25年9月4日:判例コラム【非嫡出子の相続】)。
 
そのため、現在では、非嫡出子(愛人の子)は、嫡出子と同じ相続分になるので、愛人の子からは保険金の4分の1を請求されることになるでしょう。

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