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印鑑を無断盗用した遺産分割協議書【Q&A №340】

2014年1月15日


 

①遺産相続協議書の見せられたのは母親死亡後の相続の件時で訪問した平成22年6月29日に初めて知った。

弟Aは(平成21年7月死亡)は昭和51年5月1日に遺産相続協議書を作成して所有権移転登記は昭和51年5月30日完了していた。

勝手に弟の配偶者(B)に署名させて印鑑を押印後に印鑑登録を要請、印鑑署名書は代理人申請で取得していた 印鑑登録は昭和51年5月15日です。署名の事実もなく正本も渡されていない。 母親(平成22年5月11日死亡)と父親(昭和37年7月30日死亡)の相続調停で相手方4名は弟Aの相続人配偶者とその子3人 申立人2名は私Cと妹は弁護士に相談して立川裁判所に調停を平成22年7月申請した。

調停で父親の相続は訴訟で争うとの回答書に対して申立人弁護士は「父親の相続は経費が掛かる、時効が成立しているから・・

経費対成果を考えると母親の調停で進めましょう」との事で母親の所有権のある建物の20分の9を相手側が支払うことで調停平成23年5月27日に成立しました。

②配偶者(B)とその子Dは敷地内に弟Aが不正な方法で土地所有権を得た敷地364,52㎡の一部を121,58㎡土地文筆登記平成14年6月14日して家を新築した。

当時弟Aに確認したら借地代として税金分は貰っていると話をしていたのである。

調停前平成22年6月17日に配偶者とその子D.E2人持ち分242,94㎡を3/1づつ移転登記され、且配偶者(B)はその子Fは文筆登記された121,58㎡土地移転登記していた。

記載内容  実印 印鑑登録 偽造

(知世子)

【時効制度について損害賠償請求にも時効がある】

ご相談内容に質問部分が記載されておりませんでしたので、当方で問題点を推測し、回答します。

まず、お父さんの遺産分割について、あなた(さらには妹さんの)印鑑が勝手に印鑑登録され、その実印が使用されて、遺産分割協議書が作成されたとすれば、それはあなた方の意思に基づかない違法かつ無効な遺産分割協議であり、その協議書を使ってお父さんの遺産である土地等の不動産登記もされたのであれば、その登記も効力がありません。

ただ、法律では、無効な権利関係といえども、権利者としての外形が長く続くのであれば、その外形を権利として認めようということで、取得時効という制度を設けています。

又、権利を長く行使しないのであれば、その権利の行使を認めなくする消滅時効という制度も認めています。

【弟さんの行為については不法行為基づく損害賠償請求が可能だったが・・】

弟さんのした行為はあなた方の遺産を取得することを妨害したもので、あなた方としては不法行為による損害賠償請求ができることになります。

しかし、不法行為はその行為を知ったときは、知ってから3年間、知らない場合にも不法行為時から20年で時効に消滅します。

今回のケースでは、その行為があった昭和51年から約40年近くが経過しています。

あなたの委任された弁護士が時効というのは、その消滅時効のことを言っているのでしょう。

また、仮に本件が私文書偽造罪などにあたるとしても、やはり公訴時効という制度があり、警察が捜査し裁判にかけることができる期間も制限されています。

【登記の無効を争うことは可能かもしれないが・・】

ただ、弟さんのした相続登記が無効というのなら、現在もその点を指摘して、登記無効の訴訟を提起することも可能です。

しかし、この裁判ではあなた方が、弟さんが不法行為を行ったことを証明する必要があり、それができなければ敗訴することになります。

あなた方の依頼された弁護士としては、あまりにも過去のことであるので、その点の立証も難しいと考え、お母さんの相続だけに限定したものと思います。

又、弟さんが登記してから約40年間、弟さん及びその家族はその不動産を自分の名義で使用し、かつ、固定資産税等の税金を支払っており、所有者としての外形を維持してきましたので、取得時効が完成している可能性が極めて高いです。

その判断が正しかったのかどうかは、詳しい事情を知らないためなんとも判断できませんが、約40年近く前の事実を証明するのはかなり困難なことであると思います。
又、取得時効も完成しているものと思われるので、あなた側の弁護士の判断もやむをえないものではないでしょうか。

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