夫が他界しました。
息子は、さんざん親のお金を使ったあげく、行方知らずです。
私と娘だけで夫の財産を相続したいのですが、息子を排除する方法はあるでしょうか。
家庭裁判所に訴えれば、息子の財産権を無くすことができると、聞いたことがあります。本当でしょうか。
【行方不明者も相続人です】
息子が音信不通ということですが、行方不明者であっても財産権はあります。
また、行方不明者であったとしても、相続人であることに変わりはありません。
そのため、ご主人の相続手続を行う場合(例えば、預金を解約あるいは引きだしたり、自宅の登記を移転するような場合)には、息子の同意が必要不可欠です。
【失踪宣告の申立も可能だが・・】
まずは戸籍や住民票で息子の生存や居場所を確認しましょう。
それでもやはり連絡が取れず、集めた情報かが死亡している可能性があるには、失踪宣告の申し立てをすることも検討しましょう。
不在者の生死が七年間明らかでない場合には、家庭裁判所は不在者の失踪を宣告することができます。
もっとも、今回の質問では、単に居場所が知れないというだけのようです。
音信不通が七年間続いただけでは失踪宣告の申し立てが認められるか疑問です。
仮に失踪宣告がされた場合、息子はその住所地において死亡したものとしてみなされて、その者について相続が開始します。
息子の戸籍を調べて息子の子(質問者から見て孫)がいる場合には、その者がご主人の相続人になります。
結局その相続人から同意をもらう必要があるので、失踪宣告は今回の事案ではあまり問題の解決に役に立たないでしょう。
【本件で廃除は難しい】
また、息子から相続人の立場を奪う方法として、《廃除》を裁判所に申し立てるという手段があります(廃除の制度説明については、Q&A №102 などをご参照ください)。
しかし、この制度は被相続人に対する虐待とか、重大な侮辱、その相続人の重大な非行行為などがある場合であり、そう簡単には認められるものではありません。
そのため、結論としては、息子を可能な限り探しだし、息子が見つからなければ預金などはあなたと娘さんの持分だけの支払いを銀行に請求し、自宅の不動産などについてはあなた方の持分があることだけを相続登記するといった方法をとらざるを得ないでしょう。