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実例Q&A

遺言に従って預貯金を相続する際の手続【Q&A №678】

2020年5月12日

【質問の要旨】

・銀行にある遺産を相続人二人で分割したい。

・公正証書遺言には「二分する」とだけ記載があり、具体的な口座の指定等はない。

・遺産分割協議書は、司法書士に「必要ない」と言われたので作成していない。

・相続人のうち一人が不在の時は相続手続きできないのか?

 

 

 

【回答の要旨】

・具体的な分け方については遺産分割協議が必要

・銀行によって手続きに必要な書類は異なるので確認が必要

【ご質問内容】

銀行にある資産を相続人二人で分けるのですが、公正文書には二分するとだけの記載がありいくつかある銀行のうちどの銀行からどうするとか具体的な記載はありません。

司法書士さんは分割協議書は必要ないと言われたので作っておりません。

もし銀行のある相続人Bの町に相続人Aが行くのが困難な場合、相続人A が委任状などを提出して相続人Bと司法書士さんで分割はやってもらえないのでしょうか。

相続人Aの銀行通帳などは相続人Bに預けてあります。

相続人は二人だけで、二人の間には相続に関して問題はありません。

司法書士さんは二人ともそろっていなければ銀行からの相続はできないと言われました。

A から委任状を出しても無効だと言われました。

Aが不在では全くできないのでしょうか。

あるいは銀行によってできるとかできないとかがあるのでしょうか。

では病気とか動けない場合などにはどうなるのでしょうか。

よろしくお願いいたします。

(相続銀子)


 ※敬称略とさせていただきます。

 

【具体的な分け方については遺産分割協議が必要】

「公正文書」というのが、公証役場で作成された公正証書遺言のことを指していると解釈して、回答させていただきます。

公正証書遺言に、「A及びBに2分の1ずつ相続させる」と書かれているのみで、具体的にそれぞれがどの財産を相続するのかについての記載がない場合、金融機関としては、だれに払い戻しをすればよいのかわかりません。

また、仮にそれぞれがどの財産を相続するのか明らかでなくても、解約する権限が誰にあるのかが明らかであれば、金融機関は権限を持つ者に払戻をすることができますが、上記の記載だけでは、それも明らかになっていませんので、金融機関としては払い戻しができません。

そのため、相続人らは、話し合い(遺産分割協議)をして、どの財産をどのように分割するか決める必要があります。

あなたが書いておられるように、相続人Aに手続きをすべて任せることも可能ですが、その場合には、相続人Aが信頼できる人であっても、「すべての財産をAとBがそれぞれ2分の1ずつ分割する」「相続人Aが代表して払戻手続をし、完了次第Bに2分の1相当分を支払う」というような内容の遺産分割協議書を作成しておくのが望ましいです。

【銀行によって手続きに必要な書類は異なるので確認が必要】

実際に払戻手続をする際に、銀行に提出しなければならない書類は、銀行によって異なります。

遺産分割協議書が必要な金融機関もあれば、金融機関ごとに独自の「相続手続依頼書」というような書面に相続人全員が署名押印することを求める金融機関もあります(一般的な「委任状」ではなく、金融機関ごとに必要な書面は異なりますので、各金融機関に確認する必要があります)。

そのため、相続人Aに病気などの事情があって銀行まで行くことができないのであれば、ABそろって銀行へ行かなくとも、上記「相続手続依頼書」などの書面で相続人Bを代表相続人と指定すれば、相続人Bがすべての払戻手続などをすることが可能です。

この場合、金融機関から払い戻された預貯金は、相続人B名義の口座に一旦振り込まれ、相続人Aとしては、相続人Bから2分の1相当額を振り込んでもらうことになります。

なお、遺産分割協議書であれ相続手続依頼書であれ、実印での 押印が必要となり、印鑑登録証明書も添付しなければならないことが通常です。

また、被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)や住民票除票、相続人全員の戸籍謄本などの戸籍関係については、どの金融機関でも必要になります。

(弁護士 岡井理紗)

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