母の父が数十年前に亡くなっているのですが何箇所かの土地が未だに相続されないまま祖父名義のままになっています。
母の兄弟も何名かすでに亡くなっており残り母を含め2人となってしまいました。
母も高齢になってきているので何とか今のうちにきちんと相続をしておきたいと思います
ですが祖父名義の借家には母の兄嫁が勝手に数十年にわたり家賃をとっていたり、また、別の家には相続がなされないまま数十年兄嫁親子が住んでいたりしています。
その中でもうちの母は自宅近くにある祖父名義の土地を長年管理してきましたのでそこだけでも分割相続をしたいと思っております。
祖父名義の土地の一部だけを母が相続する事は可能でしょうか?
又もし全体を分割相続しなければならないとしたら自分が相続しない所までも最初に言い出した母が弁護士費用、その他の相続費用を支払わなくてはいけないのでしょうか?
高齢で貯蓄もないのできちんとしたいものの費用面もとても不安でなかなか次に進めない状態ですのでアドバイスお願い致します。
祖父の遺産のうち、母が希望する土地を相続することは可能です。
ただ、そのためには祖父の相続人全員で遺産の分け方を話し合う(「遺産分割協議」)必要があります。
なお、母のご兄弟が亡くなられている場合には、その亡くなられた兄弟(=祖父の子)の相続人(祖父の孫など)が参加する必要があります。
遺産分割協議では、母の希望する土地の相続について全員の同意を得て、そのことを記載した遺産分割協議書を作ります。
それによって登記名義を母に移転させることができます。
しかし、母の相続する土地の金額が他の相続人が受け取る遺産の額と比べて高すぎる場合には、母は他の相続人にお金(代償金)を支払わなければならない可能性があります。
【協議がまとまらないときは】
相続人の間で分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをし、これでもまとまらない場合は家庭裁判所の審判(判決のようなもので、裁判所が判断します)で遺産の分割をすることになります。
家庭裁判所の審判が行われる場合、裁判所は、あなたの母が長年管理してきた土地という点を考慮するでしょうから、あなたの母がその土地を相続する可能性が高いと思われます。
ただ、裁判所は、相続人間の公平を考えて、法定相続分も考慮します。
従って、あなたの母がその土地を相続する場合でも、代償金の支払いを命じられる場合があるかもしれません。
【費用等の負担者は】
遺産分割に必要な費用について、最初に言い出した方が遺産分割に必要な費用の全額を負担するわけではありません。
遺産分割に必要な費用とは別に相続費用というものがあります。相続費用(例えば相続登記の費用)については、相続した方がそれぞれ負担することになります。
例えば弁護士費用は相続費用に含まれます。
従って、弁護士に依頼した場合、その費用は依頼した方が負担し、他の相続人に負担を求めることはできません。
弁護士は依頼者である方の立場を守るために行動するからです。
☆ワンポイントアドバイス☆
質問の中に、母の兄嫁が勝手に、祖父名義の借家の家賃をとっていたということが記載されています。
遺産分割が完了していない間の家賃は、相続分に応じて、相続人全員がもらう権利がありますので、兄嫁に対して過去に遡って家賃を請求することができます。(ただし、時効ということもあるので、一部しか請求できない場合もあります。)
もし、家賃をもらうことができれば、相続費用の負担が軽減されるでしょうし、弁護士に依頼する際の費用に充てることも可能です。