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実例Q&A

★相続で取得した共有の不動産を単独取得したい場合【Q&A №106】

2012年1月16日


 

父が亡くなり、家を兄弟で相続しました。

今は長男の私が自分の家族と実母とその家に同居しています。

家を売りたくないので、弟に相続分として現金を払うべきかと悩んでいます。

こういった場合、家を査定してもらって現金を支払うならどの程度払えばよいのでしょうか。

こちらは親の面倒を見ているので(あまりそういう意識は弟にも母にもないようですが)、査定額の半分を渡すのには抵抗があります。

どうすればよいでしょうか。

またお金は全額一括でないといけませんか?

(ハプキンス)


 

【遺産分割協議は終わっているのか?】

家を弟と2人で相続したとありますが、遺産分割協議書を作成するなど、既に相続の手続きは終わっているのでしょうか。

もし終わっているなら、相続の問題ではなく、相続で共有となった家を単独にするための手続き―共有物分割請求―の問題であり、相続の問題ではありません。

ただ、今後、兄弟で相続するのだというのであれば相続の問題です。

【解決の方向は2つです】

もし、遺産分割が終わっていないのなら、問題の解決の方向としては、

①あなたが家を単独で相続するというのと、

②家は共有にするが、使用については母の面倒を見ているので、あなたが相続するという合意をするという、2つの方向があります。

ただ、②の方向は、いつか将来、弟の取得した持分を買い取るということになりますので、現時点で可能な①の方向を検討するといいでしょう。

【まず、お母さんを味方につける】

まず、相続人は、母《法定相続分2分の1》とあなた《法定相続分4分の1》と弟《法定相続分4分の1》です。

そのため、まず母を説得して、味方につけ、家をあなたの名義にするのに協力してもらいましょう。

そうすると、あなたが家を自分の単独名義にする場合、弟に支払うべき金額は、弟の相続分である4分の1の金額で済みます。

【代償金を低くするためのテクニック】

相続で家を単独取得する場合、弟に見返りとしてお金(代償金)を支払う必要があります。

この場合、弟が相続で代償金を取得しますが、第三者に不動産を譲渡し、売却代金を分割した場合に課税される譲渡益課税(通常、代金額の約20%)の支払いの必要はありませんし、売却を仲介した業者に支払う手数料(代金の約3%)も不要です。

このように、弟にとっては、売却代金の分割より代償金の方が有利になりますので、その点を説明し、査定額から20%程度、減額してもらうように交渉するといいでしょう。

【一括払いかどうかは弟さんとの話し合い次第です】

代償金の支払い方法は決まっていません。

しかし、通常は一括支払いをし、その時に同時に登記を移転してもらうことになります。

ただ、あなたが母の面倒を見るということで、弟に分割払いにしてもらうようお願いしてもいいでしょう(但し、了解するかどうかは弟の意向次第ですが)。

【お母さんの介護は、今回の相続とは別の問題です】

母の介護費用や手間の問題があるとしても、それは父の遺産分割とは別個の話です。

ただ、母親の介護をする義務(扶養義務と言います)は、兄弟全員に平等にありますので、代償金支払いの交渉の際、あなたが介護をする(ということは弟は扶養義務を免れるという利益がある)ということを減額のための説得理由とすることも、交渉テクニックとして考えていいでしょう。

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