【質問の要旨】
事件が進展しない弁護士と委任契約の終了
【ご質問内容】
亡くなった父の相続分割協議を地元の弁護士に依頼中でした。
相続人は私と兄の子供です。母と兄は既に他界しています。
兄は父から自宅購入費用や学費を援助してもらいましたが、私は10代から家事と父の面倒は全部見ました。
しかし法定相続分を主張する姪と話し合いができず弁護士を頼みましたが、文書を数回やり取りしたのち1年以上何の進展も弁護士からの連絡もありませんでした。
しかし家の修理を機に父の遺言書が見つかり私に全部譲る内容でした。
検認も全て自分で行いました。
検認日に相手方は欠席し、遺留分の請求もされていません。
この機に件の弁護士に連絡したところ相手方に文書を送り分割協議を進めるよう言われました。
私は、不動産の登記と預金の解約を済ませましたので今の弁護士はもう必要ない気がします。
弁護士報酬を支払うべきかと解任のタイミングが分かりません。
御指南お願いいたします。
※敬称略とさせていただきます。
【弁護士を信頼できない場合は解約できる】
弁護士に依頼したが、その後1年間、何の進展もなく、弁護士からの連絡もなかったというのであれば、通常の場合、弁護士に対する信頼を失くします。
自筆の遺言書の検認手続きもあなたがされたというのであれば、あなたとしては、弁護士に手続きをしてもらう気持ちもなく、信頼もしていないということでしょう。
さて、解約ができるかどうかですが、弁護士と依頼者との関係は、法津的には「委任契約」です。
委任契約は、双方の当事者から自由に解約が可能です。
弁護士と依頼者は信頼関係でつながっています。
もし現時点で、弁護士に対する信頼がないというのであれば、弁護士を解任することができます。
【今後、弁護士が必要か】
遺留分減殺請求もないという前提なら、今後の手続きはそれほど難しくありませんので、弁護士が必ずしも必要ではありません。
あなたとしては、今後は遺言書の内容を現実化していくといいでしょう。
【解約の手続き及び費用の清算、書類の返還】
解約の方向へ行くのなら手続きは次のようになります。
① 解約の通知をする。
弁護士と依頼関係を解消したいというのなら、解約の通知をするといいでしょう(この通知は、メールでもよいし、ファクスなどでもいいです)。
② 弁護士費用の扱いはどうなるか?
弁護士費用がどうなるかは、弁護士に依頼したときにどのような合意(委任契約)をしたかで決まってきます。
着手金は返還しないと明記されているのであれば、通常は返還してもらえませんし、仮に明記されていなくとも、あなたの側で解約するような場合には着手金は返還されない場合が多いでしょう。
報酬ですが、これは事件が解決したときに請求されるものです。
事件途中で信頼関係を失って解約するような場合には、支払う必要がないことが多いです。
なお、あなたが事件を依頼した後、弁護士に渡した書類があれば、是非、返還してもらうといいでしょう。