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実例Q&A

借地の売買により借地権はどうなるか【Q&A790】

2022年11月25日

【質問の要旨】

被相続人:父(1年前に他界)

相続人:母、兄、相談者、妹

相続手続:未完了

その他:実家が借地、借地名義は父  

     地主から借地を購入しないかと打診があった

 

・兄が購入したら、借地権と相続権利もなくなるのか

・兄が購入した土地を数年後に売っても、相談者や妹は一銭ももらえないのか

 

 

【回答】

もし兄が地主から借地(以下、「底地」といいます。)を単独で購入すると、兄がその土地の賃貸人になるだけで、借地権は消滅しません。

相談者らが借地権を相続する権利も消滅しません。

兄がその後に底地を転売しても、状況は同じです。

底地自体は父の遺産ではないので、兄が底地を購入後、転売によって利益を得たとしても、相談者らが転売益の一部を兄に請求することはできません。

 

高齢の母と妹が住んでいる借地の実家についてですが、先日地主から貸している土地を購入しないかと持ちかけられました。

たまたま兄も私も実家にいて話を伺ったところ、思った以上の破格値でしたが妹と私にはあまり貯蓄がありません。

兄は現金で全額支払えるので土地を自分の物にしたいと言っています。そのまま売れば数倍の価格で売れるからです。

借地の名義は1年前に他界した父の名義のままで、相続の手続きはしていません。

とにかく買ったもの勝ちだと兄は知り合いの税理士から言われ、兄が購入したらその家の借地権は消滅するので

借地権の相続権利も同時に無くなるというのですが本当ですか? 

兄が購入した土地が数倍で売れても私や妹には権利がないので、びた一文渡さないと言われました。そんなものなのでしょうか?

【ニックネーム】

りんご

 

【回答の詳細】

1 前提として

借地上の実家は、もともと父の単独所有で、現在でも父が単独所有している旨の登記になっているものとします。

父の遺言はなく、遺産分割もまだされていないものとします。

xまた、借地契約書(土地の賃貸借契約書)には、建物を所有する目的であることが記載されているものとします。

 

2 兄が底地を購入しても、借地権は消滅しない

⑴ 現在の権利関係

①もともとは父が実家と借地権をもっていましたが、②父が亡くなり相続が発生したことにより、現在では実家(所有権)と借地権は、それぞれ母が1/2,兄が1/6、相談者が1/6、妹が1/6の割合で相続し、共有していることになります。

⑵ 兄が底地を購入した場合の権利関係

それでは、仮に、兄が単独で借地(以下、「底地」といいます。)を購入した場合について考えてみましょう。

兄が地主から底地を購入すると、土地の賃貸人の地位を兄が引き継ぐ(兄が新たな土地の賃貸人になる)ことになります(民法605条の2第1項)。

母、兄、相談者、妹は、従来通り、実家と借地権を、上記⑴の持分割合で共有し続けることになります。

したがって、兄が底地を購入しても借地権は消滅しません。借地権を相続する権利も消滅しません。

⑶ その後に兄が底地を転売した場合の権利関係

さらに、兄がAさんに底地を転売した場合について考えてみましょう。

兄がAさんに底地を転売すると、土地の賃貸人の地位をAさんが引き継ぐことになります。

他方、母、兄、相談者、妹は、従来通り、実家と借地権を、上記⑴の持分割合で共有し続けることになります。

したがって、兄が底地を転売しても、やはり借地権は消滅しません。

 

3 兄が購入した土地を高値で転売した場合、相談者や妹が転売益の一部を請求することはできない

地主は底地を誰に売っても構いません。兄に売ってもいいわけです。

兄が底地を購入しても、底地は父の遺産ではなく、兄の財産です。

そのため、兄が高値で底地を転売することに成功しても、相談者や妹には、転売益の一部を請求する権利はありません。

(弁護士 武田和也)

 

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