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実例Q&A

精神状態に問題のある相続人と遺言執行【Q&A №700】

2020年10月8日

【質問の要旨】

・精神に異常があると思われる相続人がいる場合、気を付けることはあるか?

・無効になることはあるか?

・遺言の執行や書類作成について問題はない

 

 

 

 

【回答の要旨】

・遺言執行は、相続人の意思にかかわらず行うことができる

・相続人の意思が必要となる場合でも、精神状態ではなく意思能力が問題

 

【ご質問内容】

相続人の一人についてお伺いします。

一般的な生活はできますが、突然普通では考えられないことを言い出し行動に出ることもあります。ということで遺言執行者の方もおかしいと思われていると思います。

 遺言の執行や書類作成などに関してはまず問題なく進めることに問題がありません。きっちりできていると思います。

このように精神が普通でない相続人がいる場合気を付けることはありますか。無効になるような場合はあるのでしょうか。

 (日本海子)


 ※敬称略とさせていただきます。

 

【遺言執行は、相続人の意思にかかわらず行うことができる】

 法律行為が有効となるには、行為者の判断能力(意思能力)が必要です。

そのため、相続人間で遺産分割協議をするような場面では、遺産分割協議書を作成しても、後に、相続人の一人に意思能力がないと遺産分割協議は無効になります。

 遺言書があり、遺言執行者が定められているのであれば、相続人の意思にかかわらず、遺言執行者が被相続人の意思どおり(つまり遺言書の内容の通り)に執行するだけであり、相続人らの意思能力が問題となる場面は特にありません。

 そのため、相続人の中に精神疾患の人がいても、遺言の執行は可能であり、特に問題はないはずです。

 ただ、遺言書の内容が不十分で、誤記があった場合や、不動産の相続登記に際して、別途、法務局に上申書等を提出しなければならないような場合に、法定相続人の協力が必要になる場合があり、その段階では、意思能力の問題が発生する余地はあります。

【遺留分請求という場面などでは、意思能力が問題になる】

 遺言があるということですので、念のために遺留分について述べておきます。

上記の通り、原則として、遺言執行にあたっては相続人の意思は問題となりません。

ただ、仮に遺言で、他の相続人の遺留分を侵害するといった場面では、話は別です。

この場合には、精神状態に問題がある相続人が、遺留分を請求する立場であろうと、請求される立場であろうと、交渉をするには、「意思能力」が必要となります。

意思能力というのは、自分のした行為の結果を判断できる能力のことをいい、交渉の当事者の誰かにこの「意思能力」がなければ、合意をしても後に無効を主張されてしまうリスクがあります。

もっとも、意思能力の有無というのは、精神状態の問題とイコールではありませんので、精神状態に問題があっても、意思能力が欠けているとまでいえなければ、その法律行為は有効となります。

(弁護士 岡井理紗)

 

 

 

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