父親が死亡後、兄夫婦から父名義の銀行預金を解約するので、実印と印鑑証明を急いで欲しいと言われ、渡してしまいました。
ところが、それを使って遺産分割協議書を偽造され、サインは第三者によるものでした。
兄夫婦はずる賢く、実印と印鑑証明を渡すということは承諾したと同じであると主張し、自ら家裁に調停を申立て、自己の正当性を主張し、父の遺産を開示すらしません。
私のサインでないことは証明されているので告訴をしたいのですが、争点が明確でないと言われて、なかなか告訴ができません。
【告訴をしても、警察は簡単には動かない】
亡くなった父の預金を払い戻すために、兄に渡した印鑑証明書などが悪用されて遺産分割協議書を作成されたというのであれば、詐欺罪、有印私文書偽造罪、同行使罪に該当する可能性があります。
ただ、実際にこれらの罪で告訴しても、警察は《民民》のことであり、できれば弁護士を入れて裁判をされたらどうですかというアドバイスをしてくれるだけで、積極的な問題解決に役立つ可能性は少ないです。
【実印を渡したのは不注意ですが・・】
実印と印鑑証明書は、重要なものであり、署名をする書面に自分で実印を押捺するのが通常であり、兄弟といえども、実印自体を渡したことはあまりに不注意だったというべきでしょう。
ただ、第三者のサインであることが明らかであるということなら、あなたが書面(遺産分割協議書)の内容を了解していたのではないという証明になります。
【自ら調査するべきですが、専門家への依頼も考える・・】
兄が自ら家裁に調停を申し立てているのであれば、裁判所に対して、遺産目録を提出しているのが通常だろうと思います。
また、調停委員からも、他に遺産があれば開示するよう言われているはずです。
ただ、兄が遺産の内容を明らかにしようとしないときには、調停委員もそれ以上に強く開示を求めることはありません。
そのため、遺産の調査は、あなたの方で積極的にする必要があります。
あなたは相続人ですので、被相続人である父の遺産を調べることができます(預金等の調査方法については、遺産調査 の記事をご参照ください。)
ただ、本件では兄の態度に非常に問題があります。
素人であるあなたでは、遺産の調査も難しく、又、交渉も難しいのではないでしょうか。
遺産総額がどの程度かわかりませんが、ある程度の額になるのであれば、相続に詳しい弁護士に相談し、事件を委任された方がよいケースのように思います。
ご検討ください。