被相続人は父の母親であり、現在遺産相続争いが起こっています。
法定相続人は父と、その妹です。
被相続人について
・私の父(相続人1)と同居
・収入は年金のみ
・遺産は銀行口座に計1360万円
・要介護認定「要介護1」
父の妹(相続人2)について
・嫁入りしている
・被相続人に対して金銭的なサポートなし
・相続人1から個人的に300万円借金
被相続人が死亡するまで食事や医療費をすべて父が負担していたため、これが寄与分に当たるのではないかと思っています。
ただ、被相続人の同意のもと、固定電話・ガス・水道・電気料金を被相続人の口座から支払っていました。
これが特別受益とあたるのか疑問に思っています。
医療費は、直近の5ヶ月平均で4万円/月くらいで、病院一往復につき1000円、すべて父が負担しています。
また、被相続人は生前、不注意などから鍋を焦がしたり水道の出し放しなどが月に2,3回ありましたのでその面でも金銭的に寄与したとはならないのでしょうか。
長くなってしまいましたが、
・寄与分はどのくらいになるのか
・本人同意の下でのインフラ料金負担は特別受益にあたるのか
ご回答よろしくお願いいたします。
【通常の寄与を超えた寄与が必要】
まず、寄与分とは《被相続人の財産の維持又は増加に特別の寄与をした》場合に求められるものですので、通常期待される程度を超える貢献が必要とされています。
そのため、なんらかの寄与をすればそれがすべて寄与分になるわけではなく、両親と同居したという程度だけでは、寄与分とは認められません。
親子間であれば扶養義務(成人であっても)があり、通常の親子であればなんらかの寄与があるのが通常と考えられているからです。
通常の寄与程度であれば相続分で評価されているものと考えてもよいでしょう。
【多額の医療費なら可能性はあるが・・】
前記のような見解から言えば、同居していた高齢の母の食費負担程度であれば親子間の扶養義務の範囲内であり、寄与分とは認められない可能性が極めて高いと思われます。
また、不注意で鍋を焦がしたり水道を出しっぱなしにしたりということについても、修理に数十万円や数百万円を要したなど、よほど高額でない限り、寄与分と認められる可能性はないでしょう。
他方、医療費についても、風邪などで年に数回程度通院する費用程度であればこれも通常の寄与の範囲内と言えるでしょう。
ただし、毎月数万円の医療費が継続的に数年間発生し、合計すれば数百万円にも上るというケースであれば、本来、母の年金収入から負担すべきものといえますので、通常の寄与を超えた特別な寄与として、母の年金収入によって構成された預金の減少を食い止めたものと評価され、寄与分が認められる可能性があると思われます。
【水道光熱費負担は特別受益ではない】
他方、特別受益は、そもそも贈与が対象ですし、遺産分割上、相続人間であまりに不公平になることを避ける制度です。
そのため、多額の贈与や遺贈が特別受益とされることはあっても、月額数万円程度の生活費補助等については、特別受益の問題は発生しません。
ましてや、光熱費については、母自身も同居しているのなら、相当の光熱費を負担するべきものであり、特別受益と認められる可能性低いと考えるべきでしょう。