【質問の要旨】
母の財産を管理している妹が、財産を使い込まないか心配。
対処する方法はないか。
【ご質問内容】
父が亡くなり四年が経ち、母・長女(私)・妹・弟(八年前他界)がおり、両親の面倒を見ていた妹夫婦が今回建物のみ母への名義変更を言ってきました。
弟存命中は、いずれ両親と同居する前提でマンション代を出してもらっており、しかし弟亡き後は、それが叶わないので妹から、父へマンション代を返すよう弟の嫁に言い、嫁は返済しました。
以前、私は、妹から両親の面倒を見てほしいと言われましたが、その当時は両親も元気で二人で生活できていたし、私の家の状況等の理由もあり、それを断った経緯があります。
その後は一切を取り仕切り、財産を聞いても教えてもらえず、生前父から何となく聞いていた預貯金額より遥かに少ないぼんやりした額をのらりくらり言うだけです。
嫁も同じことを言っています。
通帳と実印は妹が全て持っていますし、母は強い妹には何も言えません。
母名義にさせたマンション代他の預貯金の目減りを防ぐ手立てはないのでしょうか。
また、今後どのようにして対処していけば良いのでしょうか。
【母の財産の管理を決定するのは母です】
母の預貯金を、現在は妹が管理されているようですが、もし、母が自分の財産の管理を妹に任せているのであれば、それは母の意思に基づくものであり、何ら違法なことではありません。
あなたは、母が死亡した場合には、その遺産を相続できる立場です。
しかし、現段階では、母の財産に関与するなんらの権利も権限もありません。
そのため、もし、現在の状況を変えたいのであれば、あなたではなく、母がその意思で行動する必要があります。
あなたとしてできることがあるとすれば、それは、母が妹に対して、《預貯金通帳や印鑑を返してほしい》と決断するように働きかけることくらいでしょう。
母がそのような決断をするのであれば、母の意向に従い、あなたが母の代理人として妹と通帳等の返還や今後の管理について交渉するということも法的には可能ですし、必要に応じて母が弁護士に依頼するということを考えてもいいでしょう。
【成年後見人をつけることも考える】
現時点では、母には判断能力があるようですが、もし、将来、母の判断能力がなくなるようなことがあれば、親族であるあなたは、家庭裁判所に対して、母の成年後見申立をすることができます。
家庭裁判所で選任された成年後見人は、母の全財産を管理します。
今回のように、将来の法定相続人の間で母をめぐって紛争が生じるおそれのある場合には、家庭裁判所は、子ではなく、司法書士や弁護士などの第三者を成年後見人に選任しますので、成年後見人の選任以降は、母の財産の保全を図ることが可能です。
【現時点でできることは何か?】
ただ、将来、母が死亡した場合、あなたは相続人となり、遺産をもらう立場になります。
その際、妹が母の預貯金を勝手に使っていたのであれば、あなたは相続人として、あなたの法定相続分に応じた額の返還請求ができます。
そのため、現在、どの銀行のどの支店に母が預貯金を持っているかは最低限、把握しておくといいでしょう。
通帳等が手にはいらなくとも、母の死亡後、その金融機関に連絡すれば、取引履歴や払戻伝票の取り寄せが可能になり、その内容から、妹が母の預貯金を取り込んでいることが判明することもあります。
つまり、現在あなたができることとしては、母に対して働きかけをおこなって妹に管理してもらっている状態をやめてもらうか、もしくは母の財産の内容をできる限り正確に把握しておくことくらいだと思われます。