【質問の要旨】
施設の顧問弁護士が通帳を渡してくれない
【ご質問内容】
先日、叔母がなくなり相続権のある私含め兄弟とのやり取りの中で資産管理は先方の施設で行っていた関係から今回、死去に伴い身元引受人の私が交渉しているのですが、
ようやく私物の方は引き取れたのですが、
本日、施設の顧問をされている弁護士さんとお会いして私と叔母との血縁がわかる戸籍等を提示して通帳等は返して頂けると思った処、
確かに相続者ではあるが銀行に提出する書類等がそろったら一緒に銀行に行きそこで渡すとの事、
尚、その際に入院費で未払いを払って頂きたいとの申し出だったのですが、
私の認識ですとすぐに凍結した口座からの入出金は難しいと思います。
又、先方様には私にご請求書頂ければお支払いしますので入金の方、確認出来てからでいいので通帳等の返却を求めたのですが責任があるとのご回答にてそれも却下されてしまいました。
これが現実的な事なのか分からず今回、ご相談させて頂きました。
お手数ですが宜しくお願い致します。
【施設の顧問弁護士が通帳を渡さない理由を考える】
施設の側の立場で考えると、相続人からの私物や通帳の引き渡しの申し出を拒む理由は次の2点でしょう。
① 申し出のあった相続人に返還した場合、後日、他の相続人からクレームが出てくる可能性がある。
② 施設の利用料金等に未払い分の回収をはかる口実として、通帳等の引き渡しを拒んでいる。
【他の相続人からのクレームが理由の場合】
あなたは施設に入っていた被相続人の身元引受人ということですが、この身元引受というのは入居者に問題があったときに責任を取るべき立場であっても、被相続人の財産全部を取得するという立場ではありません。
そのため、施設側としては、被相続人の財産に関することは、相続人全員の同意を取ってきてほしいと主張することが可能です。
これは施設が相続トラブルに巻き込まれないための配慮です。
今回は、あなたに私物を返還しているようですので、これが理由とは考えにくいですが、拒否の理由がそのようなものであるなら、あなたとしては相続人全員の同意を取り付けるしかないでしょう。
【未払分の回収を考え、通帳の引き渡しを拒否している場合】
本件では、施設の顧問弁護士は未払金の回収を考えているのかもしれません。
しかし、あなたとしては通帳をもらわなくとも被相続人の預貯金がどこの支店にあるという点さえ確認できれば、その金融機関に被相続人がなくなったことを伝えて、所定の手続きすることにより、預貯金の回収が可能です。
この場合、金融機関としては、相続人が誰であるかがわかる資料として戸籍謄本や除籍謄本等の書類を求め、また、相続人全員からの実印を押捺した解約同意書あるいは代表相続人の指定及び印鑑証明書の提出を求めますが、預金通帳の提出は必須ではありません。
もし、通帳がなければ紛失したとの欄に?を入れる程度で済みます。
そのため、施設が預貯金通帳を返還しないのなら、預貯金通帳なしで遺産である預貯金を解約して、金銭の払い戻しを受け、その後、施設に未払い分を確認し、その金額を持参して、預貯金通帳の返還を受けるといいでしょう。