父方の祖母が他界した時に、叔父(私の父(他界)の兄。)が家へ来て、「母(私から見ると祖母)の預金を下ろしたいから、委任状を書いてくれ」という説明で、私が不在だった
ため、私の母が、代筆で委任状を2通書きました。
8年ほど経ち、祖母の土地の相続はどうなっているのか、疑問に思った私の母が、登記簿を調べたところ、その土地は、叔父の物となっておりました。
どのような手順で相続したのか、書類の提出を求めたところ、一通の委任状のコピーが届きました。
それは、この土地は叔父が相続するという内容の物でした。
当時、土地相続の相続放棄についての話など一切なく、委任状を書かされたわけですが、その内容は全く見ておらず(半分折りになっており、相続内容が書かれた左面とは逆の右面に署名捺印しており、意図的に、内容を見られないようにしていたのかも?)この委任状が有効なのか疑わしい限りです。
しかし、8年前の事で記憶もあいまいで、こちらが書類をきちんと確認しなかった事に、悔しい思いです。
虚偽の説明で、委任状を書かせた叔父が許せません。
この委任状は、私の許可なく、母が代筆していますが、それでも有効になるのでしょうか?
本人が書いてない委任状と、虚偽の説明で書かされたという点から、この書類を無効にすることは、できないものでしょうか?
【本人の意思に基づかない委任状は無効】
まず、当然のことですが、本人の意思に基づかない委任状は無効です。
ただ、代筆であっても、障害で字が書けない人を代筆することもありますし、横で指示して書かせる方式でも直ちに無効というわけではありません。
問題は、本人が書いたかどうかではなく、本人の意思に基づくものといえるかどうかです。
【黙示の承認ないし追認の可能性はないのか・・】
母が委任状を書いたとき、あなたにその作成のことを知らず、又、その後も母の代筆を承認しておらず、同意もしていないというのなら、委任状は無効です。
その無効な委任状に基づきなされた叔父への相続登記も無効になります。
しかし、もしあなたが母の代筆を知って放置していたとか、母の委任状作成を暗に認めていた(あるいは、母の代筆がもめ事になるのを避けようと思い仕方なく黙認した)というような場合には、裁判で委任が有効と認定される可能性があります。
なお、叔父が相続登記をするには、あなたの委任状だけではなく、その他にあなたの実印を押捺し、かつあなたの印鑑証明書を添付して登記申請をする必要があります。
叔父への相続登記が完了していたというのなら、誰があなたの実印の押捺をし、又、誰があなたの印鑑証明書を叔父に渡したのかという疑問も出てきます。
登記を無効と主張するには、これらの点も勝手にされたのだということを証明する必要があります。
【詐欺について】
又、詐欺で騙されたのはあなたではなく、母ということになりますが、その前提で考えるならあえて詐欺という必要もなく、あなたが関与しておらず、あなたの意思に基づく委任状ではないということで十分です。
結局、登記の無効を主張するのであれば、あなたの意思に基づかないという点を根拠にするのがいいでしょう。