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実例Q&A

相続した土地の価格が下落したら【Q&A №27】 0027

2010年3月31日


 

 

2年半前に父が他界、遺言書は存在したが、遺産の土地、借金の相続でもめ、不本意ながら他相続人(母、兄、姉)の強い要望で、遺産分割協議書に合意、遺言書とは全く違う土地及び借金も相続した。

(本来私が相続すべき土地は収入も多く、母、兄夫婦の生活費、借金返済に充当、他借金の担保等の理由で代替土地を渡された。)

相続時土地に関し下記の説明でした。

①公道に面してない土地が、隣接の土地所有者と土地交換約束が交わされて公道に面する土地として登記可能。

②資産価値あり(約¥2000万程度)

③5年の駐車場契約収入あり。10年以上契約可。

昨年、経済悪化で駐車場契約が解約、収入無くなり、負債が返済不可となり滞納の状態。

土地処分の為、相続した土地の隣接所有者に土地換えの相談をし登記を進め様としたが、『買うなら駐車場契約付きの条件で800万』『土地換えの件は直ぐできない。』。話が全く違い騙されたとしか思えない。

また、母、兄、姉は父の他界直後直ぐに父名義銀行口座より預金を別の口座に移動させていた模様で、その件は私には言わず、『現預金はわずかしない』と数万円の通帳を数冊見せて来た次第です。

A)このような状況の場合、遺産分割協議書を無効にすることはできるのでしょうか?

B)既に支払っている相続税、固定資産税などは戻ってくるのでしょうか?

 

(ラルフ)

 

 

【遺産分割協議を無効にできる可能性があります】

遺産分割協議でも、詐欺による取消や錯誤による無効を主張することは可能です。

しかし、本件のケースでこのような主張できるかどうかが問題です。

質問では、土地については「昨年、経済悪化で駐車場契約が解約」されたと記載されていますが、その結果、売却額が800万円と低額になったのか、又、そのために土地交換の話もすぐにはしてもらえなかったのかがはっきりしません。

分割協議後に発生した事情のために、他の相続人も予想できなかったということであれば、彼らが騙したというのは難しいように思われ、この点からは遺産分割を無効とはできないことになります。

しかし、わかっていて騙していたとすれば、その嘘の内容次第では錯誤や詐欺の主張ができる場合もありえます。

【引き出された現金の返還を請求することができます】

預金について、引き出した額が多額であり、そのような引出があったことを知っていたら、そのような遺産分割協議をしなかったといえる場合には、分割協議全体を無効にすることができる可能性があります。

他方、協議全体を無効とするのではなく、その一部を無効として、引き出された預金(協議の対象にならなかった部分)を改めて分割し直すという方法もあります。

この方法でも相続人間の公平を保つことができるならばこちらの方法によることになると思います。

そして、預金を引き出した他の相続人に対して、不当に引き出したものだとして、引き出し分のうち、あなたの法定相続分に相当する額を返還請求することも可能でしょう。

【税金の返還について】

あなたが支払った相続税は、税務署が定めた一定の計算方法により算定されたものです。

土地の価額は、税務署の定めた相続年度の路線価に基づいて算定されており、不動産が現実にいくらで売れるかということとまったく関係がありません。

したがって、土地の価額が800万円に下がったからといって、相続税が返還されることはありません。

また、固定資産税も各市町村が定める固定資産評価額に基づいて算定されますので、現実の売却価格が低かったからといっても、返還されることはありません。

☆ワンポイントアドバイス☆

遺産分割が無効かどうかという点は、さらに詳細な事実関係を確認しなければ判断できません。

できれば弁護士との面談の法律相談により、土地についてどの点が騙されたと思うのか、又、預金はいつ引き出されたのか、その金額はいくらなのかなどの具体的な事実を説明し、その事実を知ってもらった上でのアドバイスを受けられた方がよいでしょう。

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