調停で遺産相続が確定している土地、建物の管理責任は調停での確定範囲で負うと、考えて宜しいのでしょうか?
(登記は死亡した祖父名のままです)
*遺産相続取得以外の建屋(未居住)から、強風で瓦が飛び隣地の家に損害を与えてしまいましたが、該当する 土地建屋を取得した、他の相続人の主張は遺産相続登記が完了していないので、私にも損害賠償を案分して支払え と言ってきています。
ご教示宜しくお願い致します。
記載内容 相続登記 管理責任 損害賠償 所有者責任 占有者責任
【まず、占有者が責任を負う】
建物の管理(補修等)に不備があったため、台風などの強風で隣宅に被害を与えた場合、まず、建物占有者が隣宅に対して損害賠償請求をする義務があります。
【次に所有者が責任を負う】
ただ、占有者がいない場合や占有者が十分な管理をしていたような場合には、建物の所有者が責任を負って損害賠償をすることになります。
本件では占有者がいないということですので、所有権者が責任を問われることになります。
【調停後の事故の場合】
ご質問の場合、被害を与えた時期が調停の後であれば、たとえ相続登記が完了していなくとも、調停により所有権を取得した人が、確定的に所有者になりますので、損害賠償責任があります。
他の相続人は、所有権を全くもっていないのですから、損害賠償をする必要はありません。
【調停前の事故の場合】
調停成立前に隣家に被害をあたえたというのなら、その時点では遺産分割は完了しておらず、法定相続人間で共有状態になります。
この場合には、共有者全員が損害賠償責任を負うことになります。
ただ、その範囲がどこまでかは難しい問題です。
仮に法定相続人が2名であり、損害賠償額が200万円であるとした場合、100万円ずつ損害賠償をするのか、それとも共有者各人が連帯して200万円(要するに全額)の支払い債務を負うのかという疑問があります。
私個人としては、持ち分(法定相続分)の限度でしか責任を負わない(先程の例で言えば、100万円の限度での責任になる)ということで理解していますが、この点をはっきり明言した文献や判例を見つかりませんでしたので、あくまで個人的な見解としてご参照ください。