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実例Q&A

被後見人の届出住所を私の自宅とすることの問題点【Q&A №479】

2015年11月25日


【被後見人の住居の移転】

叔母に法定後見人(司法書士)がついていますが、叔母は重度の精神疾患で居住地には、ほぼ戻れる可能性は低く、誰も居住していない、未相続分(故 祖父の母屋)の住所に住所を置いてます。

後見人(家庭裁判所含む)及び相続人は、該当土地を売却する事で合意出来ていますが、後見人より、私の住所に別世帯で 叔母の住所を移したいと打診がありました(病院を住所にする事は病院に断られた様です)。

①将来私が、私の居住場所を売却等で移転する事が発生した時に家庭裁判所の許可が必要になるのでしょうか?

②一般的に、相談内容と同様の事態が発生した時にはどの様に解決されているのでしょうか?

③叔母の住所を私の住所に移した時のなんらかのリスクは有るのでしょうか?

記載内容  成年被後見人 家庭裁判所 住居 許可

(きーみん)


【被後見人の所有物件でなくても、売却に裁判所の同意が必要な場合がある】

相続人である叔母さんが共同相続した不動産の売却につき、他の相続人も、後見人も裁判所も同意しているというのですから、その売却についてはなんらの問題ありません。

そのため、今回のご質問は、相続について問題になる点はありません。

ただ、折角、質問されているのですから、簡単に回答しておきます。

問題は、あなたの自宅に叔母さんの住所を置いた場合、あなたの自宅を売却する際に裁判所の同意が必要となる等、何らかの不利益があるかという点です。

成年後見については、被後見人が《居住の用に供する不動産》を処分(売却等)するには裁判所の許可が必要です(民法859条の3参照)。

この条文は、被後見人の所有を前提としていませんので、被後見人が所有していない物件(あなたの所有物件)でも、例えば叔母さんが《居住の用に供して》いるのなら、この規定の適用で裁判所の許可が必要になると思われます。

【元の住所に戻る場合でないので、結局、許可は必要がない】

《居住の用に供する》という意味についてはいろんな見解があります。

その中には《被相続人が現に居住しておらず、かつ居住の用に供する具体的な予定もあるわけではないが、将来においてなお生活の本拠として居住の用に供する可能性がある不動産》も含むというものまであります。

ただ、この条文は、被後見人をその生活環境から切り離すのは慎重にするべきだ(なぜなら、これまでの生活環境から切り離すのは酷だ、認知症が進む場合もある等)という観点から定められたものといわれています。

そうであれば、(あなたの自宅という)それまで住んだことのない場所に住所を移すというだけでは、《居住の用に供する》ことにはなりませんので、あなたが自宅売却の際、裁判所の許可は不要という結論になります。

ただ、念のために、予め、何らかの形でその点を裁判所に確認されるといいでしょう。

【住所移転に伴い発生する事態】

叔母さんの住所をあなたの自宅に移転した場合、叔母さん宛の郵便物があなたの自宅に届く、あるいは叔母さんの知人友人や叔母さんが債務を負っておれば、その債権者があなたの家を目指してくるというような事態もありうることも考慮に入れておくといいでしょう。

 

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