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実例Q&A

親の面倒を見た兄・財産をもらった姉の相続分【Q&A №7】 0007

2009年8月20日

 

先日、父が亡くなりました。

父は自宅と複数の駐車場や土地を持っており、自宅以外は他の人に貸して不動産収入を得ておりました。

私は次男で、私以外には兄と姉がいますが、遺産は兄弟3人で3等分することになるのでしょうか?

なお、長男は父と同居しておりましたし、姉は結婚する際、父から土地を貰っていましたが、これらは遺産分けに影響することはないでしょうか。

 

(匿名希望)

 

 

【原則としては3等分です】

ご相談の件では、特に遺言書にも、また、母のことにも触れられていませんので、遺言書なし、母は既に死亡したとして回答します。

まず、原則としては、相続財産を兄弟がそれぞれ3分の1の割合で相続します。

【特別受益】

ただ、相続人の中に、生前に被相続人から財産を譲り受けていた人がいる場合には、譲り受けた財産を、いわゆる「前渡しされた相続財産」として扱います(これを「特別受益」といいます)。

具体的には、父が亡くなった時点で有していた総財産に、生前、姉が贈与を受けた土地の価額を加算して、相続分をそれぞれ計算します。

つまり、父による生前贈与がなかったと仮定して相続分を計算するのです。

 

【具体的にもらえる遺産内容】

今回の質問では、具体的な遺産内容や贈与の額が記載されていませんが、仮に死亡時の相続財産総額は金4500万円とし、生前贈与分の土地は譲渡当時で1500万円とした場合、各相続人のもらえる遺産は次のとおりとなります。

まず、相続財産を計算します。

被相続人が亡くなった時点で、被相続人が有していた財産は4500万円です。

そして、生前贈与が特別受益に当たる場合にはこの贈与された分を加算しますので、相続財産は6000万円となります。

これを各相続人の相続分に従って分割します。

各人の相続分は3分の1ですから、各相続人は2000万円を受け取ることができます。

最後に、生前に贈与を受けた額を差し引きますので、上記の例において各相続人が取得する遺産は次の通りとなります。

兄  2000万円

次男 2000万円

姉  500万円

計算上の相続財産:6000万円 計算式=相続財産総額:4500万円+生前贈与分:金1500万円を加算した金6000万円を前提に遺産分けをします。

各人の相続分は3分の1ですから、各相続人はそれぞれ2000万円をもらえることになります。

ただ、生前に贈与を受けた分は差し引いて計算しますので、今回の遺産分けでもらえる具体的な遺産内容は次のとおりとなります。

兄及び次男:金2000万円、姉:500万円

☆ワンポイントアドバイス☆

なお、兄が父と同居されていたとのことですので、兄が親の面倒を見たので遺産を多くもらいたいと主張(これを「特別寄与」の主張といいます)してくることも考えられます。

兄の関与で、父の財産を増加させる或いは減少を食い止めるという具体的な事実がある場合には、兄の寄与分が認められることもあります。

この場合、寄与分として認められた金額は、兄が取得し、その額を差し引いた残額を前提として遺産分けがされますので、ご注意下さい。

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