【質問の要旨】
遺産分割書で取り決めた期日より前に支払うように催促される。
どう対応したらいいか?
【ご質問内容】
両親が亡くなり遺産相続人である私と弟で遺産分割協議書を交わしました、残された遺産は預金と家と株でしたので全て現金化して分配する事になり、家や株の現金化処理に名義等の変更手続きに時間が掛かるので半年以内に処理すると協議書に明記し約束を交わしました。
しかしその翌日から『早く遺産を現金化して早くこちらの口座に振り込むように』と弟から催促のメールが頻繁に送られてくるようになり、期日よりも早めろと言うような内容の脅迫まがいのメールも送られてくるようになりました。
こちらとしてはなるべく早く処理を進めているのですが、弟の催促メールは続いています。
弟は両親と離れて暮らしているので両親が残した遺産分割処理は近くに暮らしている全て私が行っている状態です。
手伝ってくれる訳でもなく催促だけしてくる弟に私はどう対応したら良いでしょうか?
さっさと分配金を振り込むしかないのでしょうか?
【法的に言えば、期限までに支払いをすればよく、文句を言われる筋合いはない】
まず、遺産分割協議書は作成済みですので、あとはその内容に従って粛々と預金や株、不動産の現金化を進めるといいでしょう。
ただ、通常、現金化の期限などを約束することはあまりしませんが、今回は明確に期限を《半年以内》と約束された以上、それまでに現金化する責務をあなたは負っていますので、その期限は守る必要があります。
弟としても、合意した以上は、「半年以内なら一切の文句を言わない」ことを認めており、そのため、法的に言えば、半年にもならない段階で文句を言える筋合いのものではありませんし、あなたとしてはこのような文句を無視しても、法的にはなんら問題はありません。
【なぜ、期限前に支払いを要求するのかを聞くことが必要】
期限の合意をしたにもかかわらず、催促や脅迫のメールがあるということですが、そのような行動を取る理由はどのようなものか、可能であれば弟に聞かれるといいでしょう。
弟が《どうしても、期限前にお金が必要だ》というのであれば、分割協議内容の変更に関わる話です。
それに対しては《支払い期限を早める(例えばあなたの財産から支払いをする)代わりに、弟への支払い額を少なくする》という協議内容の変更という方策も可能かもしれません。
【進行状況の説明等も必要かもしれない】
もし、手続きがどの程度進行しているのか、いつ頃入金するか分からず果たして期限までに支払いをしてくれるのかどうか不安だと弟さんが言うのであれば、現在の進展状況に関する情報を知らせるといいでしょう。
又、預貯金や株式など、比較的、現金化しやすい遺産については、換金して手元に現金が入り次第、早急に分配をするということも考えておくといいでしょう。
進行状況の報告や期限前の分配は法的な義務ではありませんが、不信感を除去し、人間関係をスムーズにするためには必要なことだと思いますので、状況に応じて、考慮されるといいでしょう。
【理由もなしに脅迫が続くようであれば・・】
急ぐ理由を弟に聞いても、まともな回答が返ってこず、脅迫のメールが続くような場合には、①メールで適当な回答だけはする②警察に相談にいく③弁護士に相談するという3つの方策が考えられます。
身体に危害を加えるような内容を記載したメールであれば、②の警察に相談に行かれるといいでしょう。
ただ、警察としては、よほどの危険な内容でない限りは「弁護士に相談されたら」という対応をすることが多いです。
次に③の弁護士に相談も考えていいでしょう。
弁護士としては弟の言い分を聞いた上で、もう少し待つように説得したり、あるいは進行状況の連絡をしたりという解決方法を考えてくれるでしょう。
特に、当事者ではない法律の専門家が入ることで、弟との間で感情を抜きにした冷静な会話で問題が解決する可能性も高いと思います。
ただし、弁護士に依頼する場合は費用が発生します。
そのため、費用を出してまでは…というのであれば、メールの内容が我慢できる程度であれば、①のメールでの対応をするのが現実的な選択肢になります。
状況に応じて、①から③のいずれかを選択するといいでしょう。