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実例Q&A

農地を宅地に転用した場合の扱い【Q&A №331】

2013年11月26日


 

今年、9月に父がなくなりました。相続人は母、兄弟3人です。

私は次男で、10年前にとなりの畑を農地転用し家を立てました。名義はまだ父のままです。

農地転用などにかかる費用はすべて私が払いました。土地の固定資産税も父に払っておりました。

遺産分割の際は農地としての評価ですか、宅地としての評価になるのでしょうか?

父は他に農地とアパート3棟所有しております。

遺産分割の際の知識とさせて下さい。

ご教示お願いたします。

記載内容  農地 転用 貢献度 固定資産税の支払い 寄与

(ゲンキ)

 

【基本は相続時の状態で評価】

相続は、被相続人が死亡した時点でその財産が相続人に引き継がれる制度です。

そのため、相続開始時(=お父さんの死亡時)に宅地であった場合には、その土地は宅地として扱われ、それを前提にした遺産分割がなされます。

これを貫くと宅地にして価格をかなり向上させたあなたとしては、「自分が価値を上げた功労も考慮して欲しい」という考えを持たれることと思います。

【寄与分という制度により評価】

ただ、あなたとしては、農地から宅地にする際に、盛り土をする等の作業を業者に依頼して、その費用を支払ったという場合には、その寄与を認めて、遺産分割に反映させようという制度《特別寄与》があります。

本件の場合、あなたがその土地の上に(あなた名義の)家を建築されたようですので、他の相続人からは《自分のためにしたのではないか》という苦情も出そうですが、

土地がお父さんの名義であり、その価値が農地より高額になったというのであれば、特別寄与として認められる可能性もあるでしょう。

特別寄与になる場合には、遺産の分割前にその寄与分相当額が遺産から差し引かれ、寄与分を差し引いた残りの遺産を法定相続人でその相続分に応じて分割することになります。

【固定資産税の支払いについて】

あなたは土地の固定資産税をお父さんに支払っていたということですが、この分の返還は可能かが問題になります。

あなたがお父さんに土地の固定資産税分を貸し付けたというような証拠(借用書)でもない限り、あなたが、その土地上にあなた名義の家を建築されているようですので、

その固定資産税相当額のお礼としての支払いと考えることになる可能性が高いでしょう。

そのため、その固定資産税の返還を求めることは難しいでしょう。

【特別受益の主張が他の相続人から出る可能性がある】

あなたがお父さんの土地上に建物を建築しているのであれば、あなたにはお父さんの土地を使用する権利が発生します。

賃料を支払っていないのであれば、それは使用借権という権利です。

お父さんからこの権利をもらったことが、生前贈与的なものとして、他の相続人が特別受益を主張してくる可能性があります。

使用借権の価額は土地価額の10~30%程度といわれていますが、ともかく法定相続人からそのような主張がでてくることも予め考慮しておく必要があるでしょう。

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