遺品処理の費用について、誰が持つのか教えていただきたいと思います。
父が亡くなり、母も施設に入り、実家の2階建て全9室の部屋の遺品、不用品を、遠方に居るため約1年半かけて整理してきましたが、価値のあるものは無く、あと箪笥など大物家具が12個ほど残っています。
この実家は、私が相続することになっていますが、まだ名義変更には至っていません。今相続手続き中です。
実家裏に住んでいる妹は、成人した娘と2人で住んでいて、フルタイムで働いていることと、母子家庭を理由に1度も手を貸してくれませんし、もちろんお金も出してくれません。
私が相続するのだし、いつか取り壊すのだからほっておけばよいと言っています。
施設にいる母と処理費用の相談をしようかと思いますが、母にも少し助けてもらうことはできないのでしょうか。
また、妹達は、片づけることや処理費用を出す義務は、まったくないのでしょうか。
妹は、父が生前に多くの援助をしてもらっており、相続でも相当の遺産を取得しています。
母からも家賃免除や遺言を残してもらっています。
【建物とその内部にある動産とは別個の物である】
あなたが、不動産である実家の建物を相続する場合、その中にある動産の処理費用はどうなるかという質問です。
あなたが相続するのは実家の建物ですので、その建物を取り壊す費用が必要な場合には、その費用はあなたの財産になります。
しかし、建物内の家具などの動産は、建物とは別個のものです。
従って、自宅を取得した相続人が、その内部にある動産をすべて取得するというものではありません。
例えば、自宅内に絵画や磁器、陶器などの骨董がある場合、それらの動産については別途、遺産分割協議書に分割方法を記載することが必要になります。
【自宅内の動産の帰属について特に定めをしなかった場合】
自宅内の動産については、遺産分割協議で別途協議されていないのであれば、2つの解釈があるでしょう。
まず、不動産である自宅と動産である家具などとは別個であるので、動産については別途遺産分割協議をしなければならない、という解釈です。
この考えなら、現在未分割の動産についての処分費用は、法定相続人が全員で負担することになりますし、又、処分するかどうかの判断も全員で決定する必要があるという結論になります。
ただ、本件質問と同じように、動産に価値がない場合には、遺産分割協議に動産についてなんら記載しない場合も多いです。
そのような場合には、法定相続人の意向としては、自宅と同じ処分でよい、言い換えれば自宅を取得した者がその処分費用を負担するというのが暗黙の前提となっていると考えるといいでしょう。
現在、あなた自身が自宅内の家具等の動産を処分されているようですが、もし、あなたが家具等の動産を相続で所有しないというのなら、なぜその動産を処分することができるのか、ということにもなります。
不服かもしれませんが、自宅と共にその中にある動産も取得したと考えて、処分費用もあなたが負担するしかないでしょう。
なお、この前提に立つと、仮に価値のあるものが出てきたとしても、それはあなたが相続していることになります。