私の母は、一人っ子ですでに他界しています。
その後すぐに、祖母(母の母)が亡くなり、その祖母の遺産相続権が私たち兄弟三人に発生しました。
私は三人兄弟です。
祖母は2年前に亡くなり、私が祖母の死の知らせを聞いたのは、亡くなって3カ月後でした。(祖母と母はあまり行き来がなかったので)
預貯金や現金などは兄がもっています。税金も兄が支払っているようです。
兄は弁護士を雇い、私に連絡してきましたが、預貯金のコピーを見せてほしいと申し出てもみせてくれません。
また、祖母の土地と建物を売却しようとしたが、買い手が見つからなかったと記されており、さらには、弁護士費用は40万かかるので、3人で折半して支払うよう弁護士から請求がきました。
弁護士からは最初に兄の代理人であるので、兄とは接触なくようという手紙をもらいました。
また私は祖母の土地建物の売却には賛成していません(それも手紙に記して送っていました)勝手にそのようなことを行う兄と弁護士に不信感を募らせています。
この弁護士は弁護士法に違反しているのではないでしょうか。私は弁護士費用は支払っていません。
【事件を依頼していない人は、弁護士報酬を支払う必要はない】
弁護士に対する報酬は、弁護士に事件を依頼した人が支払うものです。
兄が頼んだのであれば兄が支払うべきものです。
事件を依頼していないあなたが、兄の弁護士に報酬を支払う必要はありません。
【利害対立する双方から弁護士費用をもらうと問題になる・・】
今回の質問では、兄が依頼した弁護士が、事件の相手方であり利害の対立するあなたに報酬等の弁護士費用を請求するのは、弁護士として次の問題点が発生します。
① 依頼を受けていない人に弁護士費用を請求することは法律的な根拠がなく、違法である。
② 相続人として利害が互いに対立する兄とあなたの双方の代理人となるのは、違法である。
(なお、兄とあなたの双方から、《利害対立しているのはわかっているが、それでも代理人になって欲しい》と頼まれたというのなら、問題はありません)
【弁護士はあくまで一方当事者の味方】
弁護士が今回のような遺産分割事件で兄の代理人として登場してきたとすれば、それはあくまで兄の利益を図る、兄の側の弁護士として行動する必要があります。
相手方であるあなたの代理人を兼ねた場合には、弁護士としては、利害対立する双方の利益を図ることは不可能です。
そのため、弁護士に適用される法律(弁護士法)では、《双方代理》の禁止という原則を定めており、これに違反すると弁護士会から処罰(懲戒処分)されることもあります。
兄の弁護士が報酬の支払いを請求してきても、あなたとしては支払う必要はありませんし、あまりしつこく請求してくるのであれば、一度、地元の弁護士会に相談されるといいでしょう。
【預金通帳を見せない場合の対応策】
預金通帳のコピーを請求しても、相手方の弁護士が見せてくれないということですが、兄側としては預金通帳を見せる義務はありません。
遺産である預金の通帳も見せる義務もなければ、ましてや兄独自の預金通帳を見せる義務も全くありません。
通帳の開示に応じない場合には、遺産である預金を兄が使い込んでいるようなケースが極めて多いので、是非、あなた側で独自に調査することをお勧めします(調査方法については当ブログの、Q&A №98 をはじめとするカテゴリ( 参考カテゴリ:「遺産調査」 )をご参照ください)。
【お祖母さん名義の土地の売却はできない】
なお、被相続人である祖母名義の土地については、相続人であるあなたの同意なしに勝手に売却することはできません。
あなたとしては、兄側の用意した書面に実印を押したり、印鑑証明書を手渡すようなことでもしない限り、登記の移転もできませんので、この点は安心されて結構です。