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実例Q&A

他人名義の自己所有地上の建物の立ち退き【Q&A756】

2022年5月12日

【質問の要旨】

・祖父母が30年前に、友人夫婦と折半で土地を購入し(名義は友人夫婦の夫)、そこにそれぞれの夫婦の戸建てを建てた(家の名義はそれぞれの夫)。

・交友関係は30年間続き、ここ10年近くは相談者の祖母が友人夫婦の介護をしていた(入院や治療の方向性、日々の金銭管理についても常に祖母が付き添い、友人夫婦の親族は疎遠)。

・友人夫婦の妻が亡くなった途端、残された夫の親族が相談者の祖父母に対して「土地や家を狙って取り入っている」と言い、友人夫婦の夫を介護施設に入れ、土地と家を売却するので立ち退くよう要求してきた。

・介護施設に入れた後も祖母が毎日世話をしに行くため、親族が施設を移し、行先は祖母には知らされなかった。

・祖父母は80代で2年前より生活保護を受給しているが、最終的にはお金は要らず、ただ友人夫婦の夫に会いたがっている。

・相手方の不動産会社の要求は来週頃判明するが、祖母は引っ越し資金のみ受取り、立ち退きに応じたいとしている。

・祖母の尊厳をこれ以上踏みにじられたり、最悪祖母が借金を背負うようなことにならないか不安。身を守る術はあるか。

 

 

【回答の要旨】

・土地購入の経緯や売買契約書・領収書等の有無を聞いたうえで、要求には応じないよう説得してみてもよい

・まずは、土地の売買契約書が保管されていないかを確認する必要がある

 

 80代になる祖父母の話なのですが、困り果てておりお問合せいたします。

祖父母には10代から付き合いがある友人夫婦がおり、

 

・30年前、祖父母夫婦と友人夫婦とで折半し1つの土地を購入(土地の名義は友人夫婦の夫)

 その土地に半分ずつ、それぞれの夫婦の戸建てを建てた(家の名義はそれぞれの夫)

 

・30年間食事のおすそ分けや買い出しを共にしたり、

 ここ10年近くは祖母が友人夫婦の介護をしていた

 (入院や治療の方向性、日々の金銭管理も常に祖母が付き添い、友人夫婦の家族は疎遠)

 

 

・友人夫婦の妻が亡くなった途端、残された夫の家族がうちの祖父母に対して

 「土地や家を狙って取り入っている」と言い、

 友人夫婦夫を介護施設に入れ、土地も家も売るから立ち退けと言ってきました。

 

介護施設に入れた後も祖母が毎日世話をしに行くため、

親族が施設を移し、行先は祖母には知らされませんでした。

 

祖父母は80代で2年前より生活保護を受給、

祖母は

「お金のことで争うような恥ずかしいことはしたくない」

「保護費がおりて家賃はいらないからここを立ち退いても良い」

「お金をもらったところで生活支援課に没収されては何もならない」

最終的には、お金はいらないからただ友人夫婦の夫が元気にしているか一目会いたいということでした。

相手方の不動産会社の要求は来週頃わかりますが、

祖母は引っ越し資金のみもらい、立ち退きに応じるとのことでした。

 

 

祖母の尊厳をこれ以上踏みにじられたり、

最悪祖母が借金を背負うようなことにならないかなど不安です。

身を守る術をお教えいただければ幸いです。

                                                                (ささき)


 ※敬称略とさせていただきます。

 


【回答】

1 祖父母は家の立ち退き要求に応じなければならないか

  もし祖父が土地購入費用の半分を負担したのであれば、その後に土地上に祖父の家を建てていることも考え合わせると、登記名義にかかわらず、土地の持ち分の1/2を祖父がもっている可能性が極めて高いといえます。

その場合、祖父にも土地を利用する権利はあるのですから、家の立ち退き要求に応じる必要はありません。

祖父母にとって何が一番幸福かは難しい問題ですが、土地購入の経緯や売買契約書・領収書等の有無を聞いたうえで、要求には応じないよう説得してみてもよいと思われます。

2 それでも立ち退きに応じる場合の注意点

  現時点では、立ち退きのみ要求されていて、引っ越し資金を支払ってもらえるということで、祖父の意向は分かりませんが、祖母はそれに応じたい考えのようです。

その方向で話を進めるのでしたら、祖父が祖父所有の家の解体費用等を請求されないようにすることが大切です。

また、引っ越し費用以外に、土地購入費用の半分を負担していることを引き合いに、解決金を要求してもいいでしょう。

その際、①祖父母が引っ越し費用(及び解決金)をもらう代わりに家を立ち退くこと、②祖父母と友人夫婦の夫(以下、「相手方」といいます)は、①以外には祖父母が相手方に対して何らの債務も負ってないことを相互に確認するという内容の契約書を作成しておくべきです。

3 立ち退きに応じない場合に裁判を起こされたとしたら

  土地上に他人の家が建てられたままの状態では、土地が売れない、又は低額になるため、祖父の家を祖父の費用で解体の上、土地を返還するよう訴訟で求めてくる可能性があります。

  その場合、相手方は、30年前に、土地を単独で購入したことを立証する必要があります。これが大きな争点になるでしょう。その立証ができない場合は、相手方の請求は認められないことになります。

なお、土地の登記が相手方になっていても、それだけでは、土地が相手方の単独所有であることを立証できません。

  そのため、まずは、土地の売買契約書が保管されていないかを確認する必要があります。

  祖父も相手方も契約書を保管してない場合は、他の証拠から、土地を相手方が単独で購入したのか、相手方と祖父で折半して購入したのかを判断することになります。この場合、他の証拠次第で、どちらの判断に転ぶか分かりません。

  仮に、相手方が単独で購入したと認定されたとしても、祖父は、土地のうち、現在占有している部分を時効によって取得したと反論する余地があります。また、相手方との間の(黙示の)使用貸借契約によって土地を占有していて、その契約が終了していないから、土地を明け渡す必要はないと反論する余地があります。

4 弁護士に相談すべき

  2,3どちらの選択をするとしても、弁護士に相談したほうがよいでしょう。

                                                       (弁護士 武田和也)

 

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