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【題名】
入院給付金は現金?預貯金?か
【ご質問内容】
故人が受取人の入院給付金を、受け取らずに亡くなりました。
遺言に現金、預貯金を故人の内縁に包括遺贈すると書いてありましたが、この場合、
現金扱いとなるのでしょうか?
【ニックネーム】
まる
【回答】
1.包括遺贈とは?
包括遺贈とは、財産の全部または一定の割合を与える内容の遺贈のことをいいます。
たとえば、「財産の全部を◯◯へ遺贈する」「財産の3分の1を◯◯へ遺贈する」という記載のことをいいます。
一方、特定の財産を指定して、与える内容の遺贈のことは特定遺贈といいます。
たとえば、「不動産は◯◯へ遺贈する」「預貯金は◯◯へ遺贈する」という記載のことをいいます。
2.今回のケースは?
今回のケースでは、「現金、預貯金を内縁の妻に包括遺贈する」という記載があったとのことですが、「現金」「預貯金」と特定の財産を指定して、妻に取得させる旨を記載しているので、これは厳密には包括遺贈ではなく、特定遺贈ということになります。
そうすると、遺言書で指定されていない「預貯金」「現金」以外のものについては、遺贈の効力が及ばないということになります。
3.入院給付金の分類
今回のケースでは、亡くなった方が受け取っていない入院給付金が問題となっていますが、法的には「入院給付金請求権」ということになり、現金にも預貯金にも入らない財産ということになります。
(財産の種類としては「債権」という分類になります。
生前に給付金の請求をして、預貯金に入金されていれば「預貯金」となりますが、受け取っていない場合は「債権」となります。)
4.遺言書に他の記載は?
通常、遺言書には記載漏れを防ぐために「その他の財産」についての項目を設けることがあります。
たとえば、「遺言者のその他の財産については◯◯に取得させる」等と記載をします。
そのため、今回のケースでも遺言書にその他の財産について記載がないか確認が必要になります。
今回の遺言書に現金や預貯金以外の財産について記載がなければ、遺言書に記載のない財産ということになるので、亡くなった方の法定相続人がいるのであれば、その方が相続により取得するということになります。
(弁護士 山本 こずえ)



