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【題名】
認知症の母の不動産持分をなくしたい
【ご質問内容】
マンション住まい 父、母、私と3人で住んでいます。
持分 父9割 母1割
母が認知症です。完全に認知機能がありません。
父の死去、母と都営住宅に申し込み、母の介護を続けていこうと思っています。
問題は、父の死後、マンションを売却して都営住宅に申し込みたいのですが、
母が持分1割ある為、都営住宅に申込ができません(自宅を持っている人は申込不可)。
売却する為には、後見人にお願いするしかないのですが、
今、なんとか母の持分をなくす方法はないでしょうか?
それができれば、父の看取り中に都営住宅に申込ができます。
【ニックネーム】
テント
【回答】
1 母の持分を今すぐ処分することは難しい
不動産の持分を処分するためには、贈与や売買などの方法があります。
ただ、いずれも本人の判断能力(意思能力)があることが前提です。
現時点で完全に認知機能がないということは意思能力がないということであり、贈与も売買もできず、持分を処分することは、法律上は全く不可能です。
2 後見人を付けた場合であっても、確実に処分できるとは限らない
母に意思能力がない場合、成年後見人の選任をつけることができます。
後見人は本人である母に替わって、財産を処分する権限があります。
ただ、不動産を売却するとなると、監督する家庭裁判所の許可が必要です。
後見人は「本人である母の利益」を守る立場であるため、持分を無償で処分することは、裁判所は許可する可能性は極めて少ないです。
また、後見人は原則として、「財産を保全する」立場ですので、母のための病院費用がいるという、母の側の必要性がよほど強くない限り、裁判所が不動産の処分を許可することもないと考えていいでしょう。
後見人を付ければ、必ず持分を処分できるというわけではなく、後見人をつけても処分できないと考えておく方がいいでしょう。
3 「父の看取り中に都営住宅へ申込む」ことについて
都営住宅についてはよく知りませんが、通常は、公営住宅に入居する資格として、申込者本人や居予定者が不動産を取得している場合、入居は困難だと考えるべきでしょう。
ただ、今回のケースでは、母が1割の持分しか持っていないということです。
難しいとは思いますが、公営住宅の申込条件は自治体ごとに異なりますので、
都営住宅管理部門に相談されるといいでしょう。
4 今後の対応
以上に述べたように、現時点で母の持分を処分できる方法はないというのが結論になります。
ただ、母のなんらかのやむを得ない必要があり(前記のとおり、病院入院費や手術費、治療費など)、かつその費用を捻出するについて不動産持分処分しかないときに、妥当な価額で売却するというのなら、母の後見人を選任することも考えてみてもいいでしょう。
(弁護士 山本こずえ)



