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実例Q&A

借金と物的担保権の設定された建物の相続【Q&A757】

2022年5月12日

【質問の要旨】

・父が保証人になってしまった為、家を担保に借金した。

・現在返済中だが、父は89歳である。途中で亡くなった場合どうなるか?

・家族は母と姉妹2人。

 

 

 

 

【回答の要旨】

・まずは速やかに相続財産(債務も含む)を調査すること

父が債務超過(家等のプラスの財産より借金等の債務が多い状態)の場合家庭裁判所で相続放棄

 の手続きをとるべき

 

 保証人になってしまった為

父が家を担保に借金しました。

返済途中ですが現在89歳です。

このまま亡くなった場合どうなるのですか?

母と姉妹2人です。       

                                                               (アリス)


 ※敬称略とさせていただきます。

 


【回答】

1 前提について

  担保にされている家は、相談者の父の所有を前提します。

2 父が亡くなった場合に何も手続きをとらないと借金も引き継ぐことになる

  父が亡くなると、一旦、家については、相続人間で共有している状態になります。借金や、父の保証人としての債務(残っていれば)については、法定相続分の割合に従って分割されて、各相続人が承継している状態になります。

  何も手続きをとらずに3カ月を経過すると、原則として、単純承認したものとみなされ、この状態で確定します。

3 まずは財産調査!

  父が亡くなった後に、相続放棄の手続きをとるべきか否かを判断するためにも、まずは速やかに相続財産(債務も含む)を調査することが大切です。

どんなものが相続財産に含まれるかについては、Q&A【コラム】遺産とは?を参照してください。

相続財産の調査方法としては、父の預貯金通帳を収集し、入金・出金履歴から他の財産を見つけたり、父宛ての郵便物から他の財産を発見する方法等が考えられます。その他、Q&A№417も参照してください。

4 財産調査後に何をすればよいか

 ⑴ 父が債務超過(家等のプラスの財産より借金等の債務が多い状態)の場合

   家庭裁判所で相続放棄の手続きをとるべきです。相続を放棄すれば、相談者は、父の家などのプラスの財産を相続できない代わりに、父の借金等の債務を背負うこともありません。

 ⑶ 父が債務超過ではない場合

   何も手続きをとらなければ、2で述べた状態で確定します。家等については、共有状態のままなので、相続人間で遺産分割協議をしたほうがよいでしょう。

また、相続人は、金銭消費貸借契約に定められた通りに、借金の残額×法定相続分を返済しなければなりません。もし、返済が滞った場合は、貸主が、担保にとった家を競売にかけるなどして、債権を回収することが予想されます。

 

 

                                                       (弁護士 武田和也)

 

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