【題名】
相続放棄交渉について
【ご質問内容】
初めまして。
父が危篤状態であり、医師より2週間程で亡くなるだろうと伝えられました。(意識不明で入院となり、目が覚めることはない)
近いうちに相続の問題が発生するので、弁護士の方に相談や依頼をしようと検討しておりメールを送らせていただきました。
結論から申し上げますと、子ども全員に相続の権利があることは理解した上で、私以外の方には相続放棄をしてもらいたいという相談です。
血縁関係ですが、父には前妻(内縁?)と子供が3人がおり
その後、私の母と結婚しましたが、現在は離婚している状態です。
(私が生まれてから父が韓国籍から日本に帰化しており少しややこしいです)
最初の妻やその子供とは接触が無く、相手側も関わらないでほしいという間柄だったようです。
10年以上前に父から聞いた話だと「子供から久しぶりに連絡があり会ったらお金を要求された。断ったら一切連絡が来なくなった」と言っていました。
一方、こちらは離婚後(25年以上前)も母と3人で毎月定期的に会い、出かけたり食事に行ったりと最近までずっと関係が続いていました。
財産に関してはローンが残っているマンション(分譲)くらいで、預金は入院費などでほとんど消えるので無いに等しいです。
父が死亡した場合、ローンは無しになるため、財産分与をするとなるとマンションの売却価格からになると思います。
負債は、友人から借りている分が残っているようですが金額の確認はまだです。
私としては、父からお金を無心して、今まで会うこともしなかった顔も知らない腹違いの兄弟に相続してほしくないという気持ち。
また、両親の間で相続は全て私にと言う話が出ており、他の子供と揉めることがないように生前贈与などについて話をしていたこと。
父の姉達からも相続は私だけにしたいと伝えられ、今後どのように動くことがベストなのか…という相談です。
身内が亡くなることや、弁護士の方に依頼することが今までなかったため、もし見当違いな相談内容をしてしまっていたら申し訳ございません。
何卒よろしくお願い申し上げます。
【ニックネーム】
YY
【回答】
1.遺産分割の通常の流れについて
今回のご相談では、仮に相談者の父が亡くなった場合、相続人は先妻の子ども3人と相談者の4人であり、法定相続分は各4分の1ずつということになります。
そのため、父が遺言書を作成していないとすれば、法定相続分を前提とした遺産分割協議をすることが通常の流れです。
2.相続放棄の交渉はかなり難しい
相続放棄をするかどうかは、相続人それぞれが決めます。
相手方の相続人が資産があり、相続争いに巻き込まれたくないというタイプの人であれば相続放棄をしてくれる可能性がなくはありません。
しかし、先妻の子と後妻の子の関係は、互いに付き合いのないケースが多く、場合によれば反目しあっているため、相続をめぐって争うケースが極めて多いです。
以上のことからすると相続放棄をさせる交渉はかなり難しいといえます。
3.まずは、相続放棄をして欲しいと伝えるところから始めるしかない
上記のとおり、相談の案件は相続放棄をさせることはかなり難しいケースです。
ただ悩んでいても何も始まりませんので、ともかく、相手方に連絡し、なぜ相続放棄をしてほしいかを率直にお伝えになるしかありません。
それでも、相手方が放棄をしないのなら、遺産分割協議を始めるしかありません。頑張ってください。
(弁護士 山本こずえ)