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実例Q&A

リフォーム代は寄与分になる?【Q&A794】

2022年12月8日

【質問の要旨】

被相続人:父

遺産:自宅(不動産的価値は0円)

その他:20年ほど前に、自宅をリフォームする際、500万円を父に渡した

 

・500万円は寄与分として主張できるか

・寄与分が認められるとしたらいくらか

 

 

 

【回答】

1.寄与分として主張することは可能

寄与分といえるためには、亡くなった人の財産を維持または増加させる行為が必要です。

今回は、相談者が父に、リフォーム代として、500万円を渡しており、

これにより父としては、500万円分の支出をしなくて済んだと考えることができます。

そのため、500万円の金銭贈与を寄与分として主張することも可能です。

2.寄与分として認められるポイント

ただ、金銭を渡すケースで、寄与分として認められるためには、以下の2点が必要です。

  • 特別の貢献・・(通常、子どもとしてする以上の金銭援助をしたこと)

②無償(ただで、あるいはそれに近い状態)で行っている

3.今回のケースでは?

裁判所では、金額だけでなく、相続人と亡くなった人との関係や金銭交付の事情なども考慮して、寄与になるかを判断します。

今回の質問では、そのような事情は記載されていませんが、質問が記載された限度で、前項の①及び②の要件があるかどうかを検討してみます。

ア ①の要件について

今回のケースでは、500万円という多額ですので、通常の子供の貢献の範囲を超えていますので、前項①の要件は備えていると思います。

イ ②の要件について

もし、相談者が父と同居していない場合には、無償と言えるでしょう。

エ.認められる限度について

  なお、寄与の要件を備えていても、全額が認められないことも多いです。

どの程度まで認めるかは、事情に応じて、裁判所の判断するところになります。

 ウ 寄与分が認められた場合の取得額

仮に、300万円が寄与分と認められた場合の扱いは次のとおりです。

  • 遺産から300万円が寄与者への支払分として除外されます。
  • 次に、上記300万円を控除した遺産につき、法定相続分応じて遺産分割をします。

上記②の遺産分割分に、上記①の300万円が加算された金額は、相談者に支払いされます。

先日亡くなった父が20年ほど前に家をリフォームする際に、総額1000万円のうち500万円を渡したのですが、これは寄与分として主張出来るのでしょうか?(これ自体の証明は可能です)

父は亡くなるまでこの家に住んでいましたが、家屋は耐久年数を超過して居るなどの理由で現在の不動産的な価値は0円だそうです。もし寄与分が認められるとするならいくらぐらいになるのでしょうか

【ニックネーム】

pop cat

【詳細な回答】

1 寄与分とは?

相続人の中に、亡くなった人の自営業を無償で手伝ったり、療養介護をしたり、金銭を援助した人がいる場合、その相続人が亡くなった人の財産を増やしたり、維持したりすることに貢献した分だけ相続分を増やしてあげる方が公平だと考えられます。

寄与分とは、そのような≪特別の寄与≫を無償で行った相続人に相当額の財産を取得させるための制度です。

2 リフォーム代の出資は寄与分にあたる可能性があるか?

今回のケースでは、相談者はリフォーム代として、500万円を渡しています。

これを500万円の金銭の出資と捉えれば、亡くなったお父さんはリフォーム代500万円の支出をせずに済んでいるため、財産の維持に貢献していると評価をすることができます。

ただ、寄与分とされるためには、以下の2点が問題になります。

①特別の貢献

金銭援助の内容が、亡くなった人との関係に基づいて通常期待される範囲を超えていること。

②無償性

無償あるいは無性に近い状態で行われていること。

①については、常識的に考えて、子供が親に金銭援助をする範囲を超えているということです。

②については、リフォーム代を負担する代わりに、何か経済的な対価を受けていると、無償ではないということになります。

 

2 今回のケースは?

そもそも、「リフォーム代」として、という部分を考慮すると、建物のリフォームそのものが、相続財産の価値を高めることにつながったか、という視点が問題になります。

ただし、この点については、建物の相続時点の価値は0円である以上、リフォームそのものは寄与分と捉えることはできないと考えられます。

一方、これを500万円の金銭の贈与と捉えると、亡くなったお父さんとしては、500万円分の支出を免れて、その分、相続財産は維持されていると評価することも可能です。

この点の区別についての裁判例は見当たらないため、今回のケースについて、前者の考えがとられて、「建物の価値が0円である以上、寄与分も0である」と判断される可能性もあります。

ただ、金銭の贈与と捉えた場合、寄与分になるという主張も可能なので、

金銭の贈与という前提で考えていきたいと思います。

金銭の贈与とした場合、裁判所が寄与分として認めるかどうかは、金銭贈与の経緯や亡くなった人と相続人の関係など、様々な事情を考慮して判断をします。

ア ①について

500万円という金額は相当程度大きいといえるので、①の特別の貢献にあたる可能性はあります。

イ ②について

リフォーム代の対価として相談者が何か経済的な見返りを受けていないかが問題なります。

相談者も一緒に住む家なので負担したということであれば、相談者自身もリフォームの効用を受けており、相談者が負担していない1500万円も含めて経済的な見返りを受けていると考えられるので、②の無償性を満たさないと判断される可能性はあります。

 

3 寄与分が認められた場合の計算

特別の寄与にあたるとしても、全額が寄与分とされない可能性はあります。

寄与分の評価は、以下の計算式によりなされます。

贈与金額×貨幣価値変動率×裁量割合

 

さらに、寄与分が認められた場合の具体的な取得金額は、以下のように計算します。

①寄与分を相続財産から除く

寄与分が100万円で相続財産が1000万円とすれば、1000万円から100万円を除いた900万円が相続財産になります。

②その上で、相続分を計算する

900万円を相続財産として、相続分を計算します。

たとえば、相続人が相談者と相手方の2人で、2分の1ずつだとすれば、

450万円が相談者の相続分です。

③相続分に寄与分を加える

相談者の相続分450万円に寄与分100万円を加えた550万円が相談者の取得する金額となります。

(弁護士 山本こずえ)

 

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