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実例Q&A

共同相続した不動産に資力の乏しい相続人が住み続けられるか?【Q&A768】

2022年7月8日

【質問の要旨】

・家族構成:父、母、長男、次男

・両親と長男が同居

・土地は父が購入して現在の価値は約2500万円

・家屋は父と長男が約2100万円で共同購入。現在の価値は約500万円

・家屋の持分割合は、父30%、長男70%

・父の財産が2650万円(土地+家屋)とした場合、

 二男が1/4の約660万円を相続できる

・父が亡くなった後も母と長男は自宅に住み続けたい。

・二男には660万円を支払う財力はない

 

①二男の相続分を減らす、または無くす方法などはあるか

②共同購入で支払った1700万円は寄与分となるのか

 

 

 

【回答の要旨】

・長男と母は自宅に住み続けられる。

・代償金を減額する方策として、遺言の利用、土地の使用借権の主張、路線価を使った土地の価格評価、寄与分の主張がある。

家族構成は父、母、長男、次男です。

両親と長男が同居しています。

次男は別居です。

同居している住宅については以下の通りです。

土地は父が購入。

約1000万円で購入して、現在の価値は約2500万円。

家屋は父と長男共有購入。

約2100万円で購入して、現在の価値は約500万円。

支払いは父:約400万円(30%)、長男:約1700万円(70%)。

父の財産が2500万(土地)+150万(家屋)=2650万円とした場合、

父が亡くなると、

次男には1/4の約660万円を相続する権利があると思われます。

母、長男は自宅に住み続けたいと考えていますが

次男に660万円を払う財力はありません。

土地を分割するには

家屋を取り壊す必要がありますが、

長男としては家屋に1700万円を払っているわけで

それが無になるのは納得できないところです。

何とかする方法はありますか?

(次男の相続分を無くすまたは減らす方法など)

ちなみに、共同購入で支払ってきた1700万円というのは寄与分となりますか?

【ニックネーム】

山川市太郎

 

【回答】

1 前提として

家屋を約2100万円で共同購入した際、父が400万円(約19%の出資)、長男が1700万円(約81%の出資)を支出していますが、家屋の持分割合は、父30%、長男70%であるものとします。

2 長男と母は自宅に住み続けられるか?

父の土地の上に長男が自宅(持分70%)をもっていますので、長男は土地の使用借権を持っていると認められるケースです。

そのため、長男の建物を撤去する必要はありません。

又、土地の相続分から言っても、父からの相続分も加算すると、母と長男で合計4分の3の持分を持っていますので、共有持分の過半数を占めています。

そのため、土地の明け渡しをするかどうかの権限は長男側にあるので、その面からも明け渡しをする必要はありません。

なお、調停などの実務から言っても、現在、その土地の上に家があり、相続人が居住している以上、その方に居住を続けさせる方向で決着を図るのが原則ですので、家の撤去や家屋からの撤去は心配しなくてもいいでしょう。

3.代償金の減額の方策①・・まず、父に遺言書を書いてもらう。

まず、父に話をして、財産をあなたが相続する内容の遺言書を書いてもらうのがいいでしょう。

次男の法定相続分は4分の1ですが、もし、そのような遺言書があれば、次男の遺留分は8分の1になり、半分になります。

4.代償金の減額の方策②・・使用貸借の主張で土地価額を減額する。

父の土地の上にあなたの家が建築されているのなら、前記のとおり、あなたは土地の使用借権を持っています。

そのため、土地はその使用借権の分だけ、減額されます。

通常は土地価額の15~30%程度、減額するということになりますので、ここでも代償金額が減少することになります。

ただ、注意を要するのは、使用借権を設定したことが父からあなたへの特別受益とされることあることです。

もし、あなたの建物建築が相続開始から10年以上前なら、特別受益から除外されますが、10年以内なら、この方策は使えないことはご承知ください。

5.代償金の減額方策③・・・土地の価額は路線価額で算定されることもある。

遺産分割の場合、土地の価額は、税務署が相続や贈与の基準とする路線価額で算定されることも多いです。

家裁での遺産分割調停なら、大半がこの路線価算定で話を進めていきます。

そのため、遺産分割協議が難航するなら、遺産分割調停を申し立てるというのも一方法でしょう。

6.代償金の減額方策④・・・寄与分の主張

家屋を長男と父とで共同購入した際、父は、19%の出資しかしていないのに、30%の持分を取得しています。

つまり、長男の寄与によって、父の家屋持分が11%増加したということです。

したがって、父の死亡時点での家屋価格の11%を目安とする金額が、長男の寄与分として、遺産分割時に考慮されることになります。

ただし、遺留分の算定にあたっては、寄与分は考慮されません。

つまり、方策①と方策④を併用することはできません。

7.結局、代償金額は218万7500円まで下がるかもしれない。

以上の方策を講じた結果も記載しておきます。

まず、土地価額は路線価で言えば、公示地価(ほぼ時価に相当)の80%程度になります。

次に、土地上の家屋が相続開始から10年以上前なら、土地は使用借権で20%程度、減価されます。

これに、前記のような遺言書があれば、次男の取り分は218万7500円程度となるでしょう。

(弁護士 武田和也)

 

 

 

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