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実例Q&A

相続放棄をするべき範囲【Q&A766】

2022年6月9日

【質問の要旨】

・相続人全員が母の相続をしたくない

・母、子A、B、C

・叔母は存命

・父、祖母、祖父は死亡

 

①遺言書にて全財産の相続をCへ指定したのちに、Cが相続放棄を行う場合

 Cのみが放棄手続きを行えば、他の相続人は手続き不要か

②それとも第1順位から第3順位までの相続人全員が放棄手続きをしなければいけないのか

 

 

 

【回答の要旨】

・全遺産の相続先をCにするための遺言書の書き方は、主に、二通りある

・「相続させる」の記載では、放棄申請の数が減少することはない

・「遺贈する」との記載では、さらに手続きの数が多くなる

<考えている事>

関係者全員が母が所有している土地等を相続したくない状況です。

 

<家族構成>

母・子3名(Aさん、Bさん(孫3名)、C(孫1名))

※叔母は存命

※父・祖父と祖母は死亡

※相談者はCになります。

 

<ご質問>

通常、関係者全員が相続をしたくない場合は第1順位から第3順位まで全ての人間が相続破棄手続きを行なわなければならないかと思っており、手続きが多くなることが予想されております。

 

そこで今回、母の遺言書にて全財産の相続先をCへ指定した後にCが相続破棄を行うという方法を考えてみたのですが、この場合はCの相続破棄手続き 及びCの孫の相続破棄手続きを行なえば他の方は相続破棄手続きが不要になりますでしょうか?(Cの孫も手続き不要でしょうか?)

それともこの方法では状況が変わらずに第1順位から第3順位までの人間が相続破棄手続きを行わなければなりませんでしょうか。

【ニックネーム】

Cの人間

 

【回答】

相談者の母親の相続人は、子であるA、B、Cです。

かりにA、B、Cの全員が相続放棄したら、母方の祖父と祖母が死亡しているので、母方の叔母が相続人になります。

なお、B及びCには子(母親から見て孫)がいますが、B及びCが相続放棄すれば、その子が相続人になることはありません。

まずこの関係を確認してから、回答します。

1.非常にユニークな発想の質問です。

相続放棄は相続人全員がその手続き(家庭裁判所への相続放棄申立)をする必要があります。

《相続人が、例えば十数人などという多数になると、その申請の手間が大変である、なんとか申請の回数を減らせないか》ということを考え、その解決のアイデアを考案されたものです。

非常にユニークな発想に基づく質問です。

2.全財産の相続先をCにする場合の記載方法

遺言書で全財産の相続先をCにする場合の記載(表明)の仕方は、

①  「全財産をCに相続させる」と記載するか、

②  「全財産をCに遺贈する」と記載するかのいずれかになります。

「相続させる」と「遺贈する」との区別は説明しにくいのですが、「相続させる」という場合には相続の手続の範囲内で財産を多くあげるという考え方になります。

「遺贈する」の場合には、相続とは別の手続として、遺産をCにあげるということと考えていいでしょう。

以下においては、この双方について、放棄の手続数が減少するかどうかを検討していきます。

3.「相続させる」の記載で放棄申請の数が減少することはない。

まず、遺言書で「全財産をCに相続させる」と記載した場合、Cが相続放棄すれば、Cは財産をもらう権利を失います。

この場合、Cが全部をもらう権利を失いますが、その反面、他の相続人であるAとBの法定相続人の地位が復活します。

そのため、AとBの相続放棄の手続が必要になります。

これが完了すると、次の順位の相続人の相続放棄が必要になり、申請の回数が減ることはありません。

なお、B及びCが相続放棄すれば、母方の叔母が相続放棄する必要があります。

4.「遺贈する」との記載なら、更に手続数が多くなる

次に、遺言書で「全財産をCに遺贈する」と記載した場合、今度はCとしては、遺贈を受けることができる立場を与えられたことになります。

もし、遺産をもらわないのであれば、そのような遺贈はいらないと意思表示をする必要があります。

これで遺贈を拒否した場合、遺贈でCが全財産をもらうことはできなくなります。

遺贈の問題は解消しますが、その反面、相続問題が復活しますので、A、B、Cはいずれも相続人になります。

そのため、相続放棄はA、B、C の3人ともしなければなりません。

これらの手続が済むと次順位の相続人が相続放棄の手続きをする必要があります。

結局、遺言書を作成したのに、放棄の手続としては、《Cによる遺贈の拒否の意思表示》が新たに必要になり、加えて、全相続人の相続放棄も必要ですので、申請の手間を減らすことにはならないでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

 

 

 

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