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自筆証書遺言の検認手続きと遺留分侵害額請求【Q&A764】

2022年6月1日

【質問の要旨】

【質問の要旨】

・父の相続について

・前妻とその子2人がいる

・母は健在で、全財産を相談者に相続させる遺言書を書いている

 

・父が死亡した際、前妻の子2人に教えるべきか

・自筆遺言書を裁判所で検認からその後の対応などを知りたい

・前妻の子から遺留分の請求があったとき、いくら支払えばいいか

・父と相談者の子(孫にあたる)が贈与契約を交わし、子の通帳にお金があるが

 3年以内に死亡したら相続とみなされるのか

・父と母の共同通帳(母名義の定期預金250万)は相続に含めるべきか

 

 

 

【回答の要旨】

・相談者から前妻の子らに父の死亡を手紙で知らせなくても、裁判所から文書が届く。

・遺言書の検認済証明書を取得できる。

・遺言書の検認が済めば、相談者は単独で、父名義の預金口座の残額の払戻しを受けることができる。

・父から孫への贈与について、贈与から1年以内に父の相続が開始された場合には、その贈与額も父の遺産とみなして遺留分を算定する。

・父から孫への贈与について、贈与を受けた日から3年以内に贈与者が亡くなってしまった場合には、相続税の課税対象となる。

父には前妻があり2人子供がいます。

父は私に全財産を相続させる遺言書を書いています。母は健在です。

父の財産は現金で500万です。

 

①父が死亡したときは、父は言わなくていいと言っていますが、前妻の子2人の場所を探して手紙(内容証明など)で教えるべきなのでしょうか?

②自筆証書遺言を裁判所で検認してもらうと何か証明書みたいなもの?がもらえるのでしょうか?

③裁判所に行けるのは母と私だけです。問題ありませんか?

④検認してもらうときは預金通帳も持っていくのでしょうか?

⑤検認が済めば預金を引き出せるようになるのでしょうか?

⑥もし前妻の子2人から遺留分の請求があったときは、いくらずつ払えば良いのでしょうか?支払った証明はどこか提出する必要はありますか?

⑦私の子供(孫)と贈与契約書を交わして子供(孫)名義の通帳にお金がありますが、3年以内に死亡したら(契約がまだ1年目です)相続とみなされるのでしょうか?

⑧ 父と母の共同通帳(母の名義の定期預金250万、原資の割合はわかりません)があります。父も母も年金収入があるので、母の財産と思っているのですが、相続に含めるべきでしょうか?裁判所で聞かれることありますか?

(税理士さんには含めても750万なので確定申告は不要ですと言われています)

【ニックネーム】

三毛猫

 

【回答】

前提として、父と母との間の子は、相談者一人であるものとします。

父には、マイナスの財産(借金等)はないものとします。

前妻の子2人は、AさんとBさんということにします。

1 質問①(父の死亡の事実を前妻の子に教える必要があるか)について

父の相続人は、母と、相談者と前妻の子2人になります。

家庭裁判所に対し、自筆証書遺言の検認の申立てをすると、裁判所から相続人(前妻の子らを含む)に対し、検認期日(検認を行う日)の通知がなされます。

つまり、相談者から前妻の子らに手紙を書かなくても、裁判所から文書が届くというわけです。

上記申立てをするにあたり、前妻の子らの住所を調査して、家庭裁判所に上申する必要がありますし、前妻の子らに対して、父の死亡や、遺言書の内容について知る機会が提供されることになります。

したがって、検認前に知らせなくてもいいと言えます。

 

2 質問②(遺言書を検認したことの証明書はもらえるか)について

自筆証書遺言の検認が終わった後、家庭裁判所に申請すれば、遺言書の検認済証明書をもらうことができます。

 

3 質問③(検認時に裁判所に出席すべき人)について

申立人以外の相続人が検認期日に出席するかどうかは,各人の判断に任されており,全員がそろわなくても検認手続は行われます。

したがって、申立人である相談者さえ裁判所に行けたら問題はありません。

 

4 質問④(検認時の必要物)について

検認の際の持ち物としては、遺言書(封筒ごと),申立人である相談者の印鑑,そのほか裁判所の担当者から指示されたものになります。

預金通帳などの持参は不要です。

 

5 質問⑤(検認が済めば預金を引き出せるか)について

検認が済めば、相談者は単独で、必要書類をそろえて、父名義の預金口座の残額の払戻しを受けることができます。                                                       

 

6 質問⑥(前妻の子の遺留分額、その支払証明書の提出の必要性)について

⑴ 遺留分算定の基礎となる財産額

父の相続開始時のプラスの財産は、父の500万円の現金になります。

また、質問⑦とも関係しますが、父から、父の相続人ではない孫に対して、贈与契約に基づき贈与(X万円とします)がなされたようです。

この点、贈与から1年以内に父の相続が開始された場合には、その贈与額も父の遺産とみなして遺留分を算定することになります。

贈与から1年経過後に父の相続が開始された場合には、原則として、その贈与額は遺留分算定の基礎にしません。

本件で、贈与から1年以内に父の相続が開始したとすると、遺留分算定の基礎となる父の遺産は、500万円+X万円になります。

⑵ 遺留分割合

父の相続人は、配偶者である母と、父の子である相談者、A、Bです。

Aの遺留分割合は、1/2×1/2×1/3=1/12になります。Bも同じです。

⑶ A、Bの遺留分侵害額

Aの遺留分侵害額は、(500万円+X万円)×1/12になります。Bも同じです。

したがって、A、Bから遺留分の請求があったときは、それぞれに対し、上記金額を支払えばよいことになります。

⑷ 遺留分侵害額を支払ったことの証明書の提出の必要性

遺産額が相続税の基礎控除額内のようですので、相続税の申告は不要であり、それを前提にすると、税務署に提出又は提示する必要はありません。

 

7 質問⑦(父から孫への贈与が相続とみなされるか)について

⑴ 父から孫への贈与について、相続税の対象となるかという観点からは、相続開始以前の3年間の贈与については、相続税の課税対象となります。

⑵ しかし、税務と法律とは異なります。

父から、父の相続人ではない孫への贈与について、遺留分算定の基礎に含まれるかという観点からは、6で回答した通りになります。

 

8 質問⑧(父と母の共同通帳が母名義である場合に相続財産に含まれるか)について

離婚の場合と異なり、相続では、名義を基準にして誰の遺産かを判断します。

したがって、相談者は、母名義の預金を母の財産と扱えばよいでしょう。

もし、名義人以外の財産だということなら、その点を主張する人が立証する必要があります。

(弁護士 武田和也)

 

 

 

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