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実例Q&A

限定承認の手続きをしたい【Q&A765】

2022年6月2日

【質問の要旨】

【質問の要旨】

・父が死亡

・相談者と姉が限定承認をする予定

・海外在住でも裁判所に出向いて申請しないといけないのか

 郵送や委任状ではだめなのか

 

 

 

【回答の要旨】

・家庭裁判所へ限定承認の申述書を提出する手続については、郵送でも可能と考えられる

・ただ、全ての手続を郵送で済ますことは難しい

・限定承認はデメリットがある

・相続放棄の伸長をして、その間に財産調査をした上で、もう一度相続放棄をするか限定承認をするか検討した方がよい

父親が死亡して 姉と私の 2人姉妹で

限定承認をする予定なのですが

裁判所に申請しないといけないとの事ですが

海外在住でも 裁判所に行かないといけないのですか? それとも 郵送 や 委任状などでは だめなのですか

よろしくお願いします。

【ニックネーム】

エイジ

 

【回答】

第1 限定承認の手続について

限定承認とは、相続財産を調査して、借金などの債務(マイナス財産)が不動産や預貯金などのプラスの財産よりも多い場合には、財産のある限度で支払いをすればよく、もし、借金などの債務よりプラスの財産が多ければ、財産をもらうことができるという制度です。

限定承認の手続きの流れとしては、概ね以下の通りです。

  1. 家庭裁判所に限定承認の申述(申立)・添付書類の提出
  2. 請求申出の公告・催告
  3. 財産管理口座の作成
  4. 相続財産の換価手続き
  5. 配当弁済手続き

このうち、家庭裁判所へ限定承認の申述書を提出する手続については、郵送でも可能です。

海外在住であっても、裁判所に行かずに郵送ですることは可能だと考えられますが、念のために、限定承認の提出前に、裁判所に連絡し、事情を説明して、海外であることから特別な手続や書類が必要になるかどうかを確認されるといいでしょう。

なお、他の人に委任する場合には、弁護士に委任をするのであれば何ら問題はありません。

ただ、それ以外の方については法律(弁護士法)という法律で委任が禁じられていますので、裁判所は受付をしませんので、その点、ご注意ください。

 

第2 郵送だけで手続きを済ますことは困難

限定承認の手続は後の①でも記載するように、裁判所に申立てをしただけで済む手続きではなく、その後の手続も申立てをした人が行う必要があります。

そのため、郵送だけで手続きを済ますことは困難です。

 

第3.限定承認は実際にはほとんど使われない

一見、非常に相続人にとっては有利な制度のように見えます。

しかし、現実には限定承認の申立ては非常に少ないです。

その理由は次のとおりです。

1.手続が複雑で、終了まで時間がかかる。

まず、限定承認は共同相続人全員で行う必要があります。

さらに、相続人としては、財産調査をした上で債権者を把握し、遺産の中から債務の弁済を行っていかなければなりません。

そのため、通常、半年程度の時間がかかり、特に債権者の数が多く、財産関係も複雑である場合はそれ以上のかなり長期間がかかるケースもあります。

2.譲渡所得税などの多額の税金がかかる可能性がある

通常の相続では譲渡税の課税はなく、相続税だけが課税されます。

しかし、限定承認の場合、相続税の他に、譲渡所得税が課税されることがあります(これは被相続人から相続人に財産が時価で譲渡されたとみなされるためです)。

例えば、被相続人が5,000万円で取得していた土地の相続時の時価が6,000万円だった場合には、差額1,000万円はみなし譲渡所得になり、その20%にあたる200万円を納税する必要があります。

しかも、もし5000万円で取得したことを証明できない場合には、6000万円の20%、すなわち1200万円が課税されます。                                                 

3.ほとんどの弁護士は限定承認の手続きをしたことがない。

以上のようなデメリット(特に、②の税金がかかること)から、実際に限定承認が使われることはほとんどありません。

当事務所の大澤弁護士(弁護士歴約50年)に確認したところ、「限定承認は1件もしたことがない!」というほどです。

又、同弁護士は、他の弁護士がしたという話はあまり聞いたことがないとも申しておりました。

 

第3 弁護士への依頼が必要

相続放棄の期間は、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3カ月です。

限定承認についても、同様に3カ月の期間制限があります。

この3カ月の期間については、財産調査に時間がかかることなどを理由に伸長することができます。

相談者としては、相続放棄の伸長をして、その間に財産調査をした上で、もう一度相続放棄・限定承認・単純承認のうちいずれの手続をとるべきか検討した方がよいでしょう。

財産調査には銀行への取引履歴の照会や信用情報機関への照会など、法律の専門家でなければ難しい手続があります。

そのため、弁護士へ依頼することをおすすめします。

また、限定承認を選択する場合も、上記のような手続の複雑さや税金の問題があることから、弁護士と税理士への相談は必須です。

(弁護士 山本こずえ)

 

 

 

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