【質問の要旨】
・被相続人と共同名義で贈与されたマンションの家賃収入(10年以上の期間)は特別受益にカウントできるか
【回答の要旨】
・特別受益とは、被相続人から相続人に対し、婚姻若しくは養子縁組のため、若しくは生計の資本として贈与等がされた場合、その相続人が受けた利益のことをいう
・特別受益にあたる場合、贈与された価格を遺産に持戻し、相続人の具体的相続分を計算する
・賃貸マンションの賃料収入について、贈与後の賃料収入は、被相続人からもらったものではなく、特別受益にはならない
【題名】
購入マンションを貸し、得た家賃収入は特別受益になる?
【ご質問内容】
被相続人と共有名義で、贈与された賃貸マンションでの家賃収入(10年以上の期間)は特別受益にカウントできると思いますが如何でしょうか?
(ヒロボウ)
※敬称略とさせていただきます。
【回答】
第1 特別受益とは
特別受益とは、被相続人から相続人に対し、婚姻若しくは養子縁組のため、若しくは生計の資本として贈与等がされた場合、その相続人が受けた利益のことをいいます。
たとえば、被相続人から特定の相続人がマンションを生前贈与された場合などが考えられます。
第2 特別受益がある場合の遺産分割の内容
特別受益にあたる場合、贈与された価格を遺産に持戻し、相続人の具体的相続分を計算します。
特別受益を受けた相続人は、具体的相続分の算出の際、特別受益の価格分を自己の相続分から控除して計算することになります。
今回の件で言えば、賃貸マンションが贈与されたというのであれば、そのマンションの価額を遺産に持ち戻します。
第3 賃貸マンションの賃料収入について
相続人が被相続人の生前、賃貸マンションを贈与された場合、通常、その贈与により受けた利益は特別受益に該当します。
したがって、賃貸マンションの価額を遺産に持ち戻して、遺産分割をします。
ところで、賃貸マンションですから、当然、賃料収入が発生します。
この賃料収入は特別受益にはなりません。
なぜなら、マンションの贈与を受けた人はその贈与の時点でマンションの所有権を取得します。
そのため、贈与後の賃料収入は、贈与を受けた人の所有する物件から発生したものであり、贈与を受けた人が自らの所有物件からあげた利益になります。
したがって、贈与後の賃料収入は、被相続人からもらったものではなく、特別受益にはなりません。
(弁護士 大澤龍司)
(弁護士 山本こずえ)