【質問の要旨】
【ご質問内容】
同居人から家賃や光熱費を回収できるか
母が死亡後の叔母との金銭トラブルについて
・母が購入した分譲マンションで、数年前から母と母の妹が同居していた。
・母と妹の間で生活費をどのように分担していたか不明だが、マンションはローン返済中だった。
・昨年、10月半ばに母が病死。マンションは娘である私が相続することになる(ローンは12月分より返済不要となる)。
・妹は「マンションから引っ越すが、12月末までは居させてほしい」とのことで同意。
そして、やっと光熱費の請求などが出揃ったので請求したところ
「あなたはローンの無いマンションがもらえる。こっちは引っ越しに費用がかかったから払いたくない」
「契約書を交わしていないから支払い義務はない」と言われてしまいました。
確かに契約書は交わしていませんが、住民票を移しそこに何年も居住していたのは事実です。
①この場合は泣き寝入りをするしかないのでしょうか?
②家賃も請求しようと思っていますが、言い値(毎月落ちていたローン分+管理費)で請求可能でしょうか?
③弁護士さんに依頼した場合の勝算はどれくらいでしょうか
■ニックネーム
ロコ8
【回答】
1.家賃の請求について
1)母と叔母との間にどのような契約があったのか?
まず、生前に母と叔母が同居していたということであれば、二人の間にどのような合意があったのかが問題となります。
①もし、叔母が毎月賃料を支払っていたのであれば、母との間で賃貸借契約が存在していたのであり、その契約に基づき賃料請求が可能です。
②しかし、賃料を支払っていなかったのであれば、母は叔母を無償(ただ)で同居することを認める使用貸借契約が成立しており、賃料は請求できません。
2)母の死後、叔母に賃料を請求できるか?
①賃料が支払いされ、賃貸借契約が成立していた(上記①)場合、相談者はその契約の貸主の地位を引き継ぎ、叔母に賃料を請求できます。
また、母の生前、叔母の賃料延滞分も請求が可能です。
②賃料が支払いされておらず、使用貸借が成立していた(上記②)場合、母が無償で貸していたという立場を相談者は相続で引き継ぎますので、
賃料の請求ができません。
2.光熱費の請求について
①叔母が賃料を支払い、賃貸借契約が成立していた場合で、叔母が電気等の料金を負担していなかったときは、これらの料金負担分を含めて、
賃料が定められたと考えられ、別途請求は困難でしょう。
②叔母が賃料を支払わず、使用貸借契約が成立していた場合、叔母が電気等の料金を負担するかどうかが問題になります。
もし、母の生前、負担していたのなら、当然、相続発生後も負担するべきでしょう。
しかし、母の生前、電気料等も負担していなかったのなら、法的には請求はむずかしいと思います。
ただ、法的な問題は別として、自分で使った分くらいは支払ってくださいと請求することは(世間の常識からみて)決しておかしいことではありませんので、
請求をされるといいでしょう。
3.弁護士の依頼したときの勝算について
上記1及び②に記載したのが法的な見解であり、弁護士に相談した場合にも同様の意見でしょう。
(弁護士 山本こずえ)