【質問の要旨】
【題名】
母が亡くなり内縁の夫が財産を渡してくれない
【ご質問内容】
母が亡くなり内縁の夫と20年近く母は暮らしておりました。
母が亡くなり財産を少しは持っておりまして実際に母の通帳やカードは内縁の夫が持っております。その為娘として母の通帳の金額も分かりません。母が亡くなった後内縁の夫に通帳を渡して欲しいと伝えましたらあんたから言われる筋合いは無いと言われました。母の葬儀は母のお金でしましたが内縁の夫がこれ以上通帳を渡して欲しいと言うならば葬儀代、入院費用全て私娘に請求すると言われました。私には弟がいますが内縁の夫は弟にも母の財産の事は言うなと言われました。理由は兄弟で揉めるからとの事です。その為これ以上内縁の夫には話せず母が亡くなって半年経ちます。母の通帳や現金も多少あったとの事ですが正確に金額も分からないし全て内縁の夫が持っています。是非宜しくお願い致します。
【ニックネーム】
フラワー
【回答】
内縁の夫は相続人ではないので、通帳の交付を請求できる
今回のケースでは、相談者の母が亡くなり、相続人は相談者と相談者の弟の2名となります。
亡くなった人の内縁の夫は、法律上の配偶者ではないので、相続人にはなりません。
母が遺言を作成していないのであれば、母の通帳や預貯金等の相続財産は母が死亡した時点で、相続人である相談者や相談者の弟のものになります。
そのため、相談者が相続人として内縁の夫に対し、母の通帳を引き渡すよう請求する権利があるといえます。
ただし、通帳の引き渡しのみを求めて訴訟をすることは現実的ではないので、相手方の態度が変わらないのであれば、後述のとおり、金融機関に直接照会をしたほうがよいでしょう。
預貯金の残高や取引履歴は金融機関に照会ができる
母の取引していた銀行などの金融機関の支店などが判明しているのであれば、その支店に照会時点から過去10年間遡った取引履歴や死亡及び現在の残高を照会すると回答してくれます。
もし、金融機関や支店がわからない場合は、被相続人が使用してそうな金融機関や自宅付近の金融機関にあたりを付けて、口座の有無を照会することができます。
なお、金融機関によっては、過去の取引履歴を取得する費用が数万円単位でかかることもあります。
内縁の夫が出金をしている可能性があるので、口座を凍結させた方がよい
内縁の夫が今後も出金をしないように金融機関に母が死亡したことを伝え、早急に口座を凍結させる必要があります。
内縁の夫が母の財産の使い込みをしているケースもよくあります。
取引履歴を取り寄せた結果、多額の出金が確認できた場合は、内縁の夫に対し、誰が何のために出金したのか質問する必要がでてきます。
多額の出金等が確認された場合は、なるべく弁護士に相談に行ったほうがよいでしょう。
入院費や葬儀費用について
入院費を内縁の夫が立て替えているのであれば、支払いが必要になる可能性が高い
入院費は生前に母が負担すべき債務なので、本来であれば、相続人が支払うべき費用ということになります。
もし、内縁の夫が自分自身の財産から立て替えている場合は、相続人が支払う必要があります。
葬儀費用については、内縁の夫は相談者にも弟にも請求することができない
葬儀費用は、死亡後に発生する費用なので、厳密には相続債務とはいえません。
実務上は、喪主が負担する場合と出席した相続人間で法定相続分(今回であれば相談者と相談者の弟が2分の1ずつ)負担するケースが多いです。
今回のケースでは、母の遺産から葬儀代を出しているということであり、内縁の夫が立て替えているわけではないので、内縁の夫が別途相談者や弟に葬儀費用を請求することはできません。
<相談者が取った方がよい行動まとめ>
- 銀行に連絡し、母の口座を凍結させる。
- 取引履歴や死亡時・現在残高を開示してもらい、内縁の夫による不正な引き出しがないかを確認する。
- 内縁の夫の使い込みがあれば不当利得返還請求(民事訴訟)を行う必要があるが、その前に弁護士へ相談する。
(弁護士 山本こずえ)