【質問の要旨】
【ご質問内容】
こちらのサイトで下記の内容を見させていただきました。
【詐欺罪ないし窃盗罪の余地はあるが】
銀行は預金者から金銭を預かって占有保管をしています。
名義人以外の人が、名義人になりすまして預貯金を引き出す場合、銀行が占有・管理する金銭を引き出すことになります。
窓口で引き出す場合には、窓口担当者をだましてお金をもらうのですから、銀行に対する詐欺罪が成立しますし、又、銀行のATMでの引き出す場合なら、騙すという行為がない(ATMは機械ですのでだますということにはなりません)ので窃盗罪が成立することなります。
この内容に書いてある事が、今私自身に起こっています。
相続人以外の第三者から、印鑑と通帳を使って、銀行の窓口でお金を下ろされました。
犯人は、わかっているし、本人も下ろした事を認めています。しかし、返還するようにいいましたが、返す気がまったくないようです。
そこで、警察に相談したところ、上記に記載されたこと同じことを言われたので、銀行の方にも問い合わせたところ、本人以外が通帳と印鑑をもって窓口でお金を下ろすは、本人確認もしないし委任状もいらない、誰でも引き出しはできるので、銀行こうとしては、なんの被害もないと言われました。
こういう時は、どうなるのでしょうか?
【ニックネーム】
komako
【回答】
1.刑事事件として警察はなかなか動かない
窓口で第三者が本人になりすましをして出金した場合、刑法上は詐欺罪等に該当する可能性があります。
ただ、警察はこの種の財産犯につき、よほど多額ではない限り、捜査に乗り出す可能性は少ないのが実情です。
ただ、銀行が回答した「本人以外が通帳と印鑑をもって窓口でお金を下ろすのは、本人確認もしないし委任状もいらない」という部分は明らかに間違いです。
(もし本当だとしたら通帳と印鑑さえあれば、誰でも出金し放題ということになってしまいます。)
2.民事事件としての解決
今回のケースでは、相手方に対し、訴訟を提起して民事上で解決を図るしかありません。
《証拠を残す》
相手方が出金を認めているのであれば、認めている発言を録音したり、ライン等でやり取りをして文字化する等の努力をし、将来、必要な時に証拠として提出できるようにされるとよいでしょう。
《遺言書があるのでは?》
なお、相手方が銀行の窓口で出金行為をすることができたということからすると、ひょっとすると、被相続人が遺言書を作成し、その内容が相手方に遺産を取得させる内容だったという可能性も考えられます。
公証役場で遺言検索をする等、遺言書についても調査をしたほうがよいでしょう。
《訴訟しても回収できないときもある》
もし、遺言書などがなく、相手方が勝手に出金したという場合でも、相手方が資力に乏しい場合は、訴訟を提起し、判決をとったとしても、回収することができないということも考えられます。
(弁護士 山本こずえ)